老犬のためのショートステイやデイサービスも 

 介護生活は飼い主にもワンちゃんにも大きな負担がかかるもの。そんなときに強い味方となってくれるのが、老犬ホームだ。リブモ株式会社の森野竜馬さんは全国の老犬ホームが検索できるサイト『老犬ケア』を運営し、安心して愛犬を預けることができる施設の情報を発信している。

ペットの高齢化に伴い、”老犬ホーム”が増えている

「現地の施設を見学し、施設責任者の方のお話を聞いたうえで、ここなら間違いがないだろうというホームをご紹介しています」

 と森野さん。これまで50以上の施設を回り、30人を超える飼い主さんにインタビューを行った内容をサイトで紹介している。また、同サイトでは、介護に関する相談も受け付けている。

「内容はやはり、入居に関する相談が多いです。“どういうところか心配”“どこを選べばわからない”など。老犬ホームに関する知識や情報がまだまだ行き届いていないのが現状です」

 介護生活に疲れきり、精神的に参ってしまっている人からの連絡もあるそう。

「まず感じるのは、飼い主さんが相当、頑張っているということ。夜鳴きをするたびに、起きて体をさすってあげる。家に帰ると排泄物で汚れているワンちゃんと部屋を掃除する。その繰り返しで大変な苦労ですが、ワンちゃんへの愛情があるだけに頑張ってしまうんでしょうね」

 最後までお世話をしたいけれど、精神的に追い込まれてギリギリの状態に。そんなとき、森野さんはこうアドバイスする。

「“まず、短期間ホームに預けてみて、冷静にこれからどう介護していくか考えてみては”とお話しします。また、頑張れると思えば自宅に戻せばいいし、入所の状態がお互いに幸せだと思えば預ければいいんです」

 現在、ものすごい勢いでシニア犬が増えているという。CMに登場したチワワ犬の“くぅーちゃん”人気が引き金となり、15年ほど前に犬を飼う人が爆発的に増えた。そのワンちゃんたちが今、高齢化しているのだ。それにともない老犬ホームも増え、利用方法も終生の預け入れだけでなく、ショートステイやデイサービス、訪問介護など、さまざまだ。

高い? 安い? 約60万円の年間利用料金

“老犬ケア”に掲載の施設を紹介。千葉県にある『ながらELLE』は、8頭までの少数飼育でケージレスでの飼育にも対応

「ワンちゃんの状態や飼い主さんの生活に合ったサービスをうまく選択してほしいですね。利用している飼い主さんとお話しさせていただくと、必ずおっしゃるのが“預けてよかった!”ということなんですよ。お互いに救われたとみなさん、おっしゃいます」

 だが、金銭的な負担も気になるところだ。

「一概には言えませんが、ワンちゃんに対する1年間の支出は10万~30万円ほどと言われています。これは私どもの調査ですが、老犬ホームの1年間の料金の平均は60万円ほど。入所金や保証金がかかる場合もありますが、仮に60万円として1日分を計算すると1600円程度ですよね。食事から身の回りの世話をすべてしてもらえる金額だと思えば、これはぎりぎりで、どのホームさんも良心的に経営されていると思います」

 ペットホテルの料金を考えれば、確かに安いといえるかもしれない。では、実際に預け入れるとしたら、どのようなところがいいのだろう?

「飼い主さんがまず気にされるのは、価格と立地です。ただ、ほかにも大切なことがあります。例えば、24時間介護する人がいるかどうかなど。料金は高くなりますが、夜間に体調が急変したときの対応が早いのが魅力です。また、具合の悪いワンちゃんの場合は、動物病院を併設しているところもオススメです。設備や空調、衛生面、スタッフさんの体制なども考えて選んでみてください」

◎老犬介護情報サービスサイト『老犬ケア』 https://www.rouken-care.jp/