ストレス解消して疲れを取るには、温泉に行ったり、おいしいものを食べたり、お金や時間がないとできないって、思ってない?

元気になるためには、まずは沈んだ気持ちをゼロに戻すことが大切。そして、その方法はみなさんが気がついていないだけで、実は日ごろから何気なく行っていることでもあるんです」

 そう語るのは、話題の本『科学的に元気になる方法集めました』(文響社刊)の著者・堀田秀吾先生。この本で紹介されている、空を見上げて落ち着く、家事をしながらオリジナルソングを歌うなどは多くの方が自然と行っているアクションではないでしょうか。

それらに科学的な根拠があると実証されているわけですから、プラシーボ効果よろしく、『何気ない行動って効果があるんだ!』と自信を持って生活してみてください。きっとよりポジティブな毎日を過ごせるようになりますよ」

 というわけで堀田先生に、とっておきの「科学的に元気になる方法」を教えてもらいました。

【1】あのハーバード大学などが背筋を伸ばして歩くことを推奨!

背筋を伸ばして歩いてみよう!

「背筋をピン! と伸ばすと気持ちが積極的になり、ストレスホルモンが減少する」という研究発表を行ったのは、あのハーバード大学! 堂々とした姿勢の人と、縮こまった姿勢の人を比べたところ、前者からは決断力や積極性などに関係する「テストステロン」というホルモンの増加が見られたというからビックリ。おまけに、ストレスと低血糖に反応して分泌されるコルチゾールというストレスホルモンも低下するんだって! 背筋がシャンとしている人=仕事ができるというイメージには裏づけがあったというわけ。背筋を伸ばして堂々と歩こう!

【2】お茶を注ぐ、砂時計を見る……ボーッとする時間を作る

 堀田先生ご自身が研究に関わり、オススメするリラックス法は、「お茶をゆっくり淹れ何もしない時間を作る」こと。ゆっくり淹れている時間って、ただただボーッとお茶を注ぐことに集中しますよね? 実は、何も考えない(しない)ときに脳はリセットされ、自律神経を整える効果につながるのだとか。銘柄は二の次、お茶を注ぐこと自体に意味があるのでレッツトライ! 1分ほど砂時計を見つめることも同様の効果があるので、忙しいときほど何もしない時間を自然に作るアクションを導入してみて!

【3】変なダンスを踊れば踊るほど自然と気持ちも上向きに

変なダンスで気持ちが前向きに

 イスラエル・ヘブライ大学の研究によれば、「身体の中でもより主導権が強いのは、頭部より下にあたる自分の意思で動かしやすい手足」という事実が明らかになったとか。つまり、表情よりも身体の動きが心に与える影響のほうが強く、もし気分が落ち込んでしまった場合は身体を動かすことを心がければOK! どう動かしていいかわからない人は、とにかく踊ってみる! 変なダンスでもかまわないので、踊っていると自然に気持ちが前向きになってくるから不思議。言われてみれば、子どもって楽しそうに踊るけど、あれって、踊っているから楽しくなるんですね!

【4】カンタンに幸福感を得られる「手浴」でストレスを軽減♪

「手浴」でストレスを軽減

 温泉に出かけなくても、温泉に浸かったようなストレス軽減効果を得られるアクションが、お湯に手をつける「手浴」。お風呂に入ることが難しい患者のために医療現場で実践されている「手浴」は、38度の温水で手を温めることで患者の痛みが緩和したり、前向きな言葉を発するなど病気の回復に対する「やる気」の向上が実証ずみ。手の血管には交感神経が集中しているため、手を温めると、いろいろな効果が得られるのだとか!

【5】“なりきり”作用を利用する

「最悪!」のかわりに「逆に、この状況が楽しくなってきた!」を口グセにしてみて。脳科学者・池谷裕二先生によれば、脳をやる気にさせるには“なりきる”方法も有効だとか。ママ友との雑談がつまらないなら、「つまらないのに輪に加わっている私ってスゲー! 逆に楽しくなってきた」くらいに考えることだという。また、自分の中の切り替えフレーズを作ることも効果的。探し物が見つからないときは、「〇〇はどこから出てくるかしら~♪」なんて即興ソングを歌ってみるといいですよ!

【6】減点法で人や物事を判断しない

 脳はポジティブよりもネガティブな情報に価値を見いだしやすい傾向がある。エラスムス・ロッテルダム大学の研究によれば、減点法で学習をさせた被験者と、減点も加点もない報酬ゼロの状況で学習をさせた被験者を比べたところ、後者のほうが成績がよかったという結果に。つまり、ネガティブな要素がチラつくと状況は悪いほうに転がっていくというわけ。人間関係においても、悪い面を考えるとますます関係は悪化するだけなので、減点法で人や物事を判断することは控えましょう!

【7】元カレのSNSをチェックする人は人間として成長できない!?

 オハイオ州立大学とハワイ大学が明らかにした研究は、「昔の恋人のSNSをチェックする人は人間として成長できない」という聞き捨てならない内容! 元恋人との交際時の親密度、失恋の痛手の度合い、元恋人の情報を見る頻度などをもとに大学生431人に調査したところ、元恋人のSNSをチェックしている人ほど、“新しい趣味を見つけられない”“気持ちを切り替えられない”傾向にあることが判明。SNSは便利だけど、元交際相手の現在まで知ってしまうのはデメリットにしかならないんです! 別れたら即座にフォローをはずして、過去に引きずられないようにしましょう!

【8】勝負のときは直前に不安を書き出す

 シカゴ大学の心理学者の研究では、試験直前の10分前に試験について不安に思うことを書き出したケースと、そうでないケースを比べたところ、書き出したほうが成績アップにつながったという。不安要素を書き出すことで、脳が自動的に記録する目の前に起こった短期的記憶を吐き出すことができ、より集中力が上がるんだそう。勝負事の直前には、参考書を見直すよりも、不安要素を吐き出したほうが脳がクリアになることを覚えておくように。

【9】周りの人が喜んでくれそうなことを1週間に5回行う

「一日一善」にも科学的根拠があるんです! 人は自分よりも他人のために何かをすることのほうが喜びを感じられる、とはヒューストン大学の研究結果。ゴミを拾う、家族を笑わす、など具体的かつ実現可能な目標を掲げることが望ましく、ボランティアなどに従事している人ほど、うつになる確率が低いことも実証されているんだとか。他人が自分に何かをしてくれると期待するのではなく、1日1回、もしくは1週間に5回以上、善いことを行う! それこそハッピーな生活を送るポイントです♪

【10】“つらいときほど空を見上げる”は科学的にもよいことだった!

つらいときほど空を見上げてみよう

 なにげなく空を見上げるとホッとしますよね? 大阪市立大学の研究によれば、空の色が神経を落ち着かせ、見上げることで姿勢が正され気分が整うという科学的なエビデンスのあるリラックス法であることが判明。スカイブルーに代表される青い色は、色彩学で「神経を落ち着かせる色」として立証ずみ。空や海を見ていると心が落ち着くのは、なんとなくではないんですね。そして! 姿勢を正す、つまり胸を張った状態は丸まった姿勢に比べて、自意識として自信を持つことにつながると言われているのだとか。

<教えてくれたひと>
堀田秀吾先生
ほった・しゅうご 1968年、熊本県生まれ。明治大学教授、法言語学者。言語学の分野に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく多角的な研究を展開。「学び」×「エンタメ」をライフワークとし、法律事務所や芸能事務所の顧問なども務めるなど多岐にわたって活躍中。著書に『人間関係の99%はことばで変わる!』など。

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