「月曜日」に危険がいっぱいな理由とは?

「大事な予定や仕事は『月曜日』ではなく、『木曜日』か『金曜日』に入れたほうがいい」「糖尿病の人がおやつを食べるなら、『午後3時ごろ』がおすすめ」――。

 世の中には意外に知られていないが、私たちの健康を決定づける「正しい時間の使い方」が存在する。

 裏返すと、世の中には「健康を損ねやすい『魔の時間帯』が存在」し、その「魔の時間」を医学博士の石黒源之氏は「ブラックタイム」と呼んでいる。

 石黒氏が臨床医として37年間の知識と経験を基に執筆した『「正しい時間の使い方」が、あなたの健康をすべて左右する』が発売されるやいなや話題になり、「ホンマでっか!?TV」(フジテレビ系)への著者出演まで決まった。

 では具体的に、「何曜日」の「何時」の時間に気をつければ、「まさかの事故と病気」からあなたと家族を守ることができるのか。本記事では、「月曜日」の危険性と対処法について解説する。

精神的にも肉体的にも危険な「月曜日」

当記事は「東洋経済オンライン」(運営:東洋経済新報社)の提供記事です

「月曜日の朝、なかなか起きられない。気分が乗らない」「通勤や通学で電車に乗っていると、月曜日ほどお腹が急に痛くなってくる」

 そんな症状になったことはないでしょうか。

 これは、「マンデー症候群」と呼ばれる症状で、主にストレスからくるものです。

 意外に知られていない事実ですが、「心筋梗塞」や「脳梗塞」などに加えて、実は「子どものおねしょ」も、1週間の中で月曜日に多いことがわかっています。

 また、「男性の自殺」が1週間で最も多いのも、月曜日の朝です。

「月曜日」は精神的にも肉体的にもストレスが大きく、とにかく「危険」がいっぱいです。

 具体的に、「月曜日」は何がどう危ないのか?どう乗り切ればいいのか?本記事で解説したいと思います。

「月曜日」は、どれほど危険なのか。まずは具体例を紹介しましょう。

ストレスが働き盛りの世代の心臓を直撃

【1】「心筋梗塞」は、月曜日がいちばん多い

 ある医療機関で心筋梗塞の発症日時を過去10年間分調べたところ、働いている世代の人が発症した曜日は、仕事始めの「月曜日」が最も多いことがわかっています。

 休み明けの月曜日、「仕事に向かうストレス」が、働き盛りの世代の心臓を直撃するのだと考えられます。

【2】「自殺」も、月曜日がいちばん多い

 日本人の死亡原因は全体で見れば、がんが第1位ですが、働き盛りの男性20~44歳までに限ってみると死因の第1位は自殺です。

 特に男性の場合は、月曜日は「自殺リスク」がはっきりと高くなる傾向にあることがわかっています。

 また、1日の中で自殺しやすい時間帯を見ると、ピークは午前5~6時です。

 つまり、自殺に関しても「月曜日の朝」は最も危険な時間帯なのです。

【3】「人工透析・血液透析の人」も、月曜日に要注意

 透析は1日おきに行うのが理想なのですが、平日の月・水・金というように、曜日ごとで決められることが多くあります。

 しかしそうなると、土・日は人工透析を受けることができません。2日間透析ができないので、月曜日には水分やカリウムや尿毒素などが体内にたまった状態になります。

 そのため月曜日には、患者さんの体に大きな負担がかかり、透析患者の死亡率も月曜日がいちばん高いことがわかっています。

 では、「ブラックタイム」である月曜日を上手にやり過ごす秘訣は何か。ポイントは3つあります。

「月曜日を上手に乗り切る」3ポイント

【1】「“サザエさん症候群”は当たり前」と知る

 日曜日の夕方ごろになると、明日からの仕事の段取りを頭の中で無意識に考えてしまったり、予想できる心配事に頭を悩ませたりして、寝つきが悪くなってしまう人が少なからずいます。

 「サザエさん症候群」といわれる症状ですが、それはある意味、当たり前のことなのです。「日曜の夕方ごろから気分が沈むのは、当然」と知ることで、少しは気がラクになるのではないでしょうか。

【2】「日曜日の夕方から」は、特にリラックスする

 次に大切なのは、日曜の夕方以降は、無理をせず、いつも以上に意識してリラックスすることです。

 日曜日の夕方は、多くの人にとってとても大きな憂鬱、プレッシャーとなる時間帯。予定を無理して入れず、できるだけ仕事のことは考えずにリラックスする工夫をしてみましょう。

【3】「大事な仕事や予定」は月曜日に入れない

 もうひとつ大切なのは「仕事の始めの月曜に、大事な予定を入れない」ことです。

 月曜日に大事な仕事や予定が入っていると、それが大きなストレスになります。なるべく気をラクにして取り組める内容の仕事から、1週間を始めることをおすすめします。

『「正しい時間の使い方」が、あなたの健康をすべて左右する』石黒源之著(東洋経済新報社)※書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

 大きい仕事は、週の半ばの「水曜日」か「木曜日」に入れると、ストレスを感じにくくなります。

 「月曜日がちょっと憂鬱」という人ほど、月曜日の仕事の負担の軽減をぜひ、実践してみてください。

 今回解説したように、人生には「事故や病気になりやすい危険な時間帯」が存在します。その「危ない時間帯」を、私は「ブラックタイム」と命名しました。

 「ブラックタイム」を知り、上手に避けることができれば、まさかの「事故や病気」からあなたと家族の命を守ることができます。

 ぜひ「ブラックタイム」と「上手なコツ」を知ることで、「人生のブラックタイム」を上手にやり過ごしてください。


<著者プロフィール>石黒 源之(いしぐろ・もとゆき)◎医学博士医師/石黒クリニック院長。1952(昭和27)年、岐阜県羽島市生まれ。自治医科大学卒業。県立岐阜病院で新規にスタートした多科ローテイト臨床研修終了。医師が病気で無医村になった、久瀬村や和良村の診療所に勤務。その後、ニューヨーク市立大学マウントサイナイ病院に留学。1988(平成10)年、岐阜市で石黒クリニックを開業し、老人の幸せをテーマに医療を行う。医療法人社団 医源会理事長、岐阜大学医学部臨床准教授、岐阜薬科大学非常勤講師、特別養護老人ホーム寿楽苑嘱託医、岐阜在宅医療研究所所長。編著に『老人を幸せにする28の言葉』(角川学芸出版)、共訳に『実地医家のためのファミリィ・プラクティス』(廣川書店)などがある。