和田靜香こと和田翔龍(わだしょうりゅう)の見事な土俵入り 撮影/根本尚史

 なんだか最近、ネットやTVや雑誌、いろんなところで身体の大きな裸の男たちをやたら見るわねぇ……とぼんやり感じているあなた、ズバリ、大相撲にはまったく興味ありませんね? 

 横綱・稀勢の里に次いで大関・高安が誕生! 7月9日から始まる名古屋場所のチケットも即日完売!なるニュースを見ても、ふ~んと気乗りしない、そんなあなたにこそ大相撲、ぜひご覧いただきたい!と私は強くお勧めします。

 そういう私は相撲観戦歴十数年の「スー女(相撲女子)」なライター。元々は洋楽ロック・スターを追いかけて幾星霜だったのに、TVで見た横綱・朝青龍に魅了され、大相撲ファンに。 

 実は最初に相撲を見た当時、私は落ち込み引きこもり、人生どうしてこうなった?と、答えのない問いにひたすら絶望していたが、勝負わずか十数秒、気合一発、一瞬で答えが出る相撲にスカッと爽快感を味わい、自分も立ち上がろう!と勇気をもらったのだ。

 それからはTV観戦&国技館通いが始まり、熱戦を食い入るように見つめていたけど、早々に「あれっ?」と気づいた。今や技巧派のベテラン関取の嘉風(よしかぜ)、大学生チャンピオンとして颯爽と登場した彼は唇がプルンっとしたベビーフェイスなキュート君だったし、今では威風堂々の横綱・白鵬は色白の美肌少年だった。

 さらに、今もイケメン関取として人気の隠岐の海が、まだおすもうさんになったばかりの頃の美麗少年っぷりったら! やだっ! おすもうさんって可愛くってイケメンで肌キレイ!と、すっかりミーハー魂が炸裂してしまった。

『スー女のみかた』和田靜香著(シンコーミュージック・エンタテインメント)※書影をクリックするとアマゾンの購入ページにジャンプします

 が、10年ぐらい前、そういう見方は少数派。友達とコソコソやっていたのだけど、遠藤、大砂嵐、宇良(うら)、石浦と、次々に若いおすもうさんたちが実力をつけて土俵を賑わせるにつれ、女性ファンが急増! 

 スー女の誕生だ。「おすもうさんカワイイ」は共通認識になり、出待ち、入り待ち当たり前、SNSにお気に入りの写真をアップし、みんなでキャッキャする時代になった。

 とはいえ、当のおすもうさんたちは毎日真剣勝負の世界に生きている。10代の若いうちから親元を離れ、厳しい稽古の日々。

 ある時、朝稽古を見学して「大変だね」と若いおすもうさんに言ったら、「仕事ですから!」とキリッと返され、自分の甘さを恥じた。と同時に、そんなこと言われたら、全力で応援したくなるではないか!と改めて思った次第。

 TV(地上波)に映るおすもうさんは十両、幕内という上位にいる70人程だけど、一番下の序の口という番付にいる人まで入れると、なんと常時700人程もいる。AKB48ならぬ、OZM(大相撲)700! 

 その700人の中に、きっとあなたのお気に入りが見つかるはず。勝負の世界で裸一貫で頑張る若者たち。難しいことは抜きにして、キャッキャ楽しくスー女の仲間入り、してみませんか? 


和田靜香(わだ・しずか)◎音楽ライター/スー女コラムニスト。作詞家の湯川れい子のアシスタントを経てフリーの音楽ライターに。趣味の大相撲観戦やアルバイト迷走人生などに関するエッセイも多い。主な著書に『ワガママな病人VSつかえない医者』(文春文庫)、『おでんの汁にウツを沈めて〜44歳恐る恐るコンビニ店員デビュー』(幻冬舎文庫)、『東京ロック・バー物語』(シンコーミュージック・エンタテインメント)がある。ちなみに四股名は「和田翔龍(わだしょうりゅう)」。尊敬する“相撲の親方”である、元関脇・若翔洋さんから一文字もらった。