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4月24日、”顔認証システム”が導入された福井公演を終えて羽田空港に降り立ったメンバーたち
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 “日本一チケットが取りにくい”とされてきた嵐のコンサート。4月23日に行われたアリーナツアー“Japonism Show”の福井公演から本格的な顔認証システムが導入され、不正が一掃されると期待されていた。

「嵐のチケットは転売目的で購入する業者も多く、オークションでは数十万円で取引されています。そこでジャニーズ事務所では、対策として顔認証システムを使って本人確認を厳密化することにしたんです」(音楽誌ライター)

 顔認証システムの導入は最近のトレンドで、福山雅治やMr.Children、ももいろクローバーZなどのライブでも採用されている。ジャニーズでも昨年末に行われた嵐の東京ドーム公演や今年2月の渋谷すばる単独ライブで試験的に顔認証が使われた。

「ももクロの場合は、NECの最新システムで顔認証が行われました。入り口で係員がタブレット端末で入場者を撮影し、コンピューターが事前に登録してあった写真と照合する方式です。でも嵐と渋谷さんのライブでは、係員が目視で写真と照らし合わせるというアナログなやり方でしたね」(前出・音楽誌ライター)

 あまりにも大ざっぱだということで、今回からは精度の高い機械認証が行われると思われていた。しかし、最新のシステムは採用が見送られてしまったらしい。

「福井公演では、スタッフ2人が一緒に顔を確認してチェックしていました。“本人の方ですか?”と尋ねて、その人たちがOKだと判断すれば入場できる感じです」(ライブに行ったファンのAさん)

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イラスト/渡辺貴博

 チケット申し込みの際に顔写真を登録し、当選すると公演3日前にメールでQRコードが届く。これまでのような紙のチケットは発行されず、座席番号や写真の情報はすべてQRコードで管理される。入場するためには、システムに対応した携帯端末を持っていなければならない。

「会場に着くと、入場を待つ長い列ができていました。チェックがすんだ人から入場していくんですが、弾かれる人もいて脇にあるテントに連れていかれていました。“転売チケットで入る人なのかな~”と思いながら見ていましたが、まさか自分が同じ目に遭うなんて……」(前出・Aさん)

 20分ほど並んでようやくAさんの番になり、携帯電話に表示されたQRコードをかざすと、係員の持つ端末に写真が映し出された。証明写真ほどの大きさだったという。

「端末を持ったお姉さんが、“うーん”と首をひねったんです。もうひとりのスタッフもこっちを見ていて、“ご本人さまですよね?”と確認されました。“え? なんで? ちゃんと買ったのに……!”とビックリしましたよ。“そうですけど……”と答えましたが、2人はいぶかしげな表情でした」(前出・Aさん)

 Aさんは顔認証では弾かれてしまい、“NGブース”で再度チェックを受けることに。

「男性の方に案内してもらって、隣のテントのブースに移りました。2人の女性係員が対応していたんですが、なかなか進みませんでした。私の番になって“本人確認ができるものを出してください”と言われました。運転免許証は持っていなかったので保険証を出し、住所を確認してやっと入れてもらえました。ライブが始まる前からドッと疲れましたね」(前出・Aさん)

 不満を抱えたのはAさんだけではない。

「目視なんて“顔認証”じゃないと思います。これじゃあ転売業者も減らないと思います」(別のファン)

「機械を導入しているアーティストも多いのに、なんでジャニーズはやらないのか意味がわからない」(別のファン)

 また、運よくスムーズに入れても、運営方法に疑問を持ったファンもいる。

「顔を確認するスタッフも、しっかり確認する人、ゆるい人といろいろいたみたいです。人によって差があるなんて、ひどいと思います」