安倍政権の支持率はガタ落ち

「文部科学省の現職大臣や局長はなかなか口に出せないことだと思いますけど、非常に無理を強いられている。無理が通れば道理が引っ込むという世界に押し込まれている。こういう感覚は共通に持っておりました。文科省職員はみんな持っています」

 衆参両院で文部科学・内閣委員会合同の閉会中審査が行われた10日、参考人として出席した前川喜平・前文科事務次官は、OBの立場から思い切りぶっちゃけた。国家戦略特区による加計学園の獣医学部設置を認める過程で「背景に首相官邸の動きがあった」と在職中を振り返り、早期開学を求められたと証言した。

 問題の本質については「規制改革によって誰が恩恵を受けるか」と喝破したうえで、あのキーワードを口にした。

「順次、条件を付すことによって結果的に加計学園しか残らない。こういうかたちに持っていった。これはなぜなのか。そこがブラックボックス化している。非常に不透明です。文科省からはうかがいしれない部分がある」(前川氏)

 ブラックボックス─。小池百合子都知事は自民党都連をそう批判した。最初は対決モードだったが、都議選で自民党が大惨敗したのはご存じのとおり。次なる政界のブラックボックスは「加計学園」をねじこんだ連中になる。

小細工は通用しない

 安倍首相は6月19日の記者会見で加計問題などについて「丁寧に説明する努力を積み重ねたい」と述べた。しかし、自民党は「外遊中」を理由に閉会中審査への首相の出席を拒否。疑惑のキーマンである和泉洋人・首相補佐官や、加計学園理事におさまっている木曽功・元内閣官房参与も出席を拒んだ。

 内閣支持率は急降下中。大手メディアの世論調査では、朝日新聞は支持率33%(7月8~9日調査)、読売新聞は36%(同7~9日)、NHKは35%(同7~9日)と見る影もない。批判を受けた自民党は13日、野党の求めに応じて安倍首相が閉会中審査に出席すると方針転換した。支持率は持ち直すだろうか。

 政治評論家の有馬晴海氏は「よほど丁寧に説明しないと国民の信頼回復はない」と手厳しい。

内閣支持率は30%を切ると“末期症状”と言われますが、最悪の場合は23%まで下がる。自民党の根っこの支持者はそれくらいですから。8月初旬の内閣改造で、仮に小泉進次郎氏を入閣させても止まらない」(有馬氏)

 首相本人にかかわる問題が批判を浴びているため、サプライズ人事などの小細工は通用しないという。

「これまでの選挙は、民進党など野党に期待できないからしかたなく自民党という消極的選択だった。しかし、都議選で有権者をまだ裏切ったことのない“真っ白”な都民ファーストの会にあれだけの票が集まった。自民党内に“安倍降ろし”の動きはない。次の衆院選(来年12月任期満了)で自民党は危うくなる」

 と有馬氏は話す。

 真相解明する気があるかどうかは発言内容などからわかる。安倍首相の丁寧な説明が待たれる。