いまや生活するうえで切っても切れないスマートフォン。「いつも携帯代が高くって~」とお嘆きの人にとって、月々の料金が安くなるなら乗り換えたいけど、真偽がわからず二の足を踏んでいる人も多いのでは!? そんな格安スマホ業界の実態を“得損”観点から徹底調査しました。(※データは2017年8月下旬に調査したものです)

 

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まずは格安スマホの最新動向をチェック

 いま、話題の格安スマホ。毎月支払うことになる高額な料金明細を見るたびに、乗り換えを考える人も多いのでは? 

 でも、そもそも格安スマホって、普通のスマホとはどう違うのか? ITジャーナリストで、格安スマホ事情に詳しい三上洋さんに聞いてみた。

「格安スマホとは、正確にいうと、契約者の情報を記録したカードを差し込むことでスマホが使える “格安SIMカード”と、価格の安いスマホのセットを指します。

 以前は、格安SIMだけが販売されていて、自分で設定する必要があるうえ、格安SIMが使えるスマホも探して買わなければいけないので、一般の人にはとてもハードルが高かったんです。ところが、3~4年前に、『イオンモバイル』が格安スマホとセットで格安SIMを売り出したところ、これが大ヒットしました。それで、マニアから一般層にまで利用者が広がったんです」

 ちなみにSIMカード自体はauやドコモ、ソフトバンクなど、大手の携帯会社が販売するスマホにもあらかじめ入っているもの。どうして“格安SIM”という形で安く売ることができるのか?

「格安SIMを提供しているのは、MVNO(仮想移動体通信事業者)と呼ばれる業者です。彼らは、auやドコモ、ソフトバンクなどの大手携帯会社から通信回線を借りて、通信サービスを行っています。ですので、回線を維持するための初期費用や設備投資がいりません。しかも、多くの業者が実際の店舗を持っておらず、営業コストもそれほどかからない。これが安さの秘密です」(三上さん、以下同)

 三上さんによれば、最近では格安スマホを扱う業者は200社以上。昨年は、無料通信アプリを運営する『LINE』が格安スマホ市場に参入したことで、大きな話題を呼んだ。

「数年前から、総務省は“通信の自由化”を推し進め、大手携帯会社が独占している回線を開放するように指示を出しました。それを追い風にして、格安スマホを扱う業者が急激に増えていってます」

 これにより、初期投資の安さなどから新規参入へのハードルが下がり、格安スマホ業者が年々急増。料金競争も激化していくことに。また、’15年9月、安倍晋三首相が「携帯電話の料金が、家計への負担を大きくしている」として、料金引き下げをするように業界に働きかけたことも、拡大を後押しした──。

 今後の格安スマホの動きはどうなるのか?

「現在の携帯電話ユーザーのうち、格安スマホの利用者はだいたい5%強です。2、3年後には約20%程度まで伸びるかもしれないと見ています。

 また、大手携帯会社も、格安スマホの台頭で、ユーザーを取られないように料金プランを見直しています。最近、auが打ち出したピタットプランなども格安スマホを意識したものです」

 これからの時代、消費者としても、格安スマホの動向はしっかり追っていく必要がありそう。