連携不足で配送トラブルにつながる

 赤の他人に荷物を預けるなどありえないことだ。Aさんはアマゾンに再び電話して、詳しい説明を求めたところ、配送業者による回答としてこんなメールが。

《下記のお荷物の件ですが、お届け先が会社で17時までに指示があったようで、●●さんという方にお渡ししたようです。お客様にはご不便お掛けして申し訳ありませんでした》(●●以外、原文のまま)

 Aさんが質問した、配達時間の食い違いや他人に荷物を預けた判断への具体的な釈明はなし。納得できる回答を得るべく、もう1度、アマゾンに電話したのだが──。

「“あとはデリバリープロバイダとやりとりしてほしい”と言われ、業者の連絡先が送られてきました。それも会社のメールアドレスではなくて、お客さま相談フォームのようなアドレスでした。さっそく、 そこにメールしたのですが、1週間以上たってもまだ回答は来ていません

 Aさんがトラブルに遭ったという配送業者・株式会社T.M.Gの本社にAさんの一件も含めた配送トラブルについて問い合わせたところ、

「回答は控えさせていただきます」(総務課)

 とのことだった。

 こうしたトラブルは今後、改善されていくのだろうか。流通ジャーナリストの渡辺広明氏に話を聞いたところ、アマゾンとデリバリープロバイダの連携不足を指摘した。

「体制が整っていないということでしょう。しかし、お客さんにとってはそうした事情は関係ありません。現在問題になっていることを早く改善しなければならないというのは、間違いありません」(渡辺氏)

 ほかの配送業者と同じくらいのサービスレベルに到達するには、時間がかかるようだ。

「数年前までは、大手運送業者のサービスレベルはヤマト運輸が頭ひとつ抜けていましたが、今は同等レベルのサービスに追いついています。デリバリープロバイダも、アマゾンとの配送業務がさらにきっちりした仕組みになり、マニュアルが整備されていくことが前提ですが、サービスレベルは早晩追いついてくると思いますよ

 配送トラブルを回避する方法としては、コンビニ受け取りが有効だという。

「早期に受け取りを希望しないのであれば、11日間は取り置きしてくれます。コンビニ受け取りできない商品もありますが、中身も見えず店員に知られることもありませんし、家に配達されることに抵抗がある人でもストレスを感じず受け取ることができます。家に帰るまで持ち運ぶなどの手間はありますが、トラブルは防げます」(渡辺氏)

 デリバリープロバイダの問題について、アマゾン広報部にも問い合わせてみたが、

「アマゾンの配送パートナーはいくつかおりますが、各配送パートナーと協議しながらお客さまに最高のサービスを提供できるように努力してまいります」(広報部)

 と、具体的な対策についての回答はなかった。

 便利さが売りなだけに、顧客へのあいまいな“不在”対応続出は解消してほしいのだが……。