木村文乃 撮影/廣瀬靖士

「私も夢を追いかけて周りに迷惑をかけてきた人間だから、夢を追っている人は嫌いじゃないです(笑)。とはいえ、まだゴールにたどり着いたわけではないので、偉そうなことは言えません。それどころかゴールも見えてない状態です。この仕事は、答えがあってないようなもの。どこが到着地点なのかは、実は今もわかりません」

 連ドラや映画で主演を張り、今や人気女優となった木村文乃(30)。“主演級”ともなると夢をつかみとったイメージを持つが、

私は本当に凡人なので、自分には特別なものが何もないんです。だから才能がある人たちを見るたびに、すごく悔しい気持ちでいっぱいになります。でも、そう思っっていても前に進めるわけじゃない。前進するためには今何ができるか、どうやったら足跡を残せるのかを考えるべきだと、最近になってようやく大人の考えができるようになってきました」

 又吉直樹の芥川賞受賞作を映画化した『火花』(11月23日全国東宝系公開)では、売れっ子漫才師を目指す芸人ふたりを温かく見守るヒロインを演じている。

桐谷(健太)さんと菅田(将暉)くんは人間としてどこか似たところがあるみたいで、ずっと仲よく話していました。まるで本当にコントを見ているみたいで、私はニコニコ笑って、ふたりの話を聞いてましたね

 そして注目すべきは、木村が見せる渾身の“ヘン顔”。

「思っていた以上に寄り目って難しいんですよ。いつでもパッとできるように、たくさん練習しましたね(笑)」

 その表情には、おかしいけれども不思議とヒロインの優しさ、切なさがにじみ出る。

「最初、(演じた)真樹には一種の女神のようなイメージを抱いていたんですけど、監督の板尾(創路)さんから“芸人という生きものと一緒にいられる人間が完璧な女神なわけがない”と。見えない何かを抱えている、その雰囲気が出せたらいいなと思いました