お金持ち=幸せ?

 高度経済成長以降、わたしたちは十分な豊かさを手に入れました。しかし、衣食住に困る人がほとんどいなくなった今、生きることの充実感や幸福感は、この物質的豊かさに比例しているのでしょうか?

豊かさとは?

 あるドキュメンタリーでは、ニューヨークのマンハッタンの街頭で、「幸せになるためには?」という質問をしたところ、ほとんどの人たちは「お金持ちになること」と答えていました。これは、マンハッタンという土地柄もあるのでしょうが、多くの人は、お金持ちになる→物質的に豊かになる→幸せになる、と思い込んでいるようです。

 一方、「happy-しあわせを探すあなたへ」という映画の中に出てくるアメリカの調査では、お金などの物質的豊かさ、社会的地位が、幸せという感覚に貢献する度合は、10%にも満たないというデータがあります。

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年収7万5千ドル以上の幸福度

 また、2002年にノーベル経済学賞を受賞したプリンストン大学のダニエル・カーネマン教授と、2015年に同じくノーベル経済学賞を受賞したアンガス・ディートン教授の研究によると、世帯年収が75,000ドル(900万円前後)以下では、収入のアップと幸せな感覚のアップは比例するのに対し、それを超えると、その傾向がなくなると報告しています。

 このとき(2008年)のアメリカの平均収入は、71,500ドル。それを超えると、お金の影響はほとんどなくなるということです。

 また、ある調査では、水道も電気もガスもない環境で暮らすタンザニアの遊牧民と、アメリカの大富豪の幸福度は、たいして変わらないと報告されています。人にはある程度の物質的豊かさが必要です。しかし、物質的豊かさが幸福度の主要な決定要因ではないということが言えます。

心の習慣

 心の持ち方で、世界の見え方も変わります。反対に、「世界をどう見るか」という点を変えることによって、心の状態も大きく違ってきます。

 これから紹介する習慣は、現代を生きるビジネスパーソンの必須能力と注目されているレジリエンス力(しなやかでタフな心の力)を高めてくれる習慣でもあります。レジリエンス力が高まると、プレッシャーやストレスの多い環境を、しなやかに、そして力強く乗り越え、自分らしく生き生きと活躍することが可能になります。心の時代と言われる二十一世紀を生きる上で、ぜひ知っておきたい習慣です。