こだわりの手作りと箱ごとレンジに進化

 発売以来、“お母さんのカレー”をコンセプトにしてきた『ボンカレー』。玉ねぎ、にんじん、じゃがいもが入り、炒めた小麦粉が香ばしく、ドロッとしているのが特徴。発売当初より具材は変わらず、工場では冷凍野菜ではなく、生の野菜を人の手作業で皮をむいたり、芽をとったりして、手作りの食感と風味を出す工夫をしている。

 その一方、競合商品も多数登場し、人々の嗜好(しこう)が多様に。’78(昭和53)年に、フルーツや香辛料をたっぷり使った『ボンカレーゴールド』を発売した。

 2003(平成15)年には、湯煎から箱ごと電子レンジでできる調理に進化。’09(平成21)年、具材に国産野菜を使用した『ボンカレーネオ』を発売すると、’13(平成25)年には定番の『ボンカレーゴールド』も箱ごと電子レンジ調理になった。

 ’15(平成27)年、ボンカレー史上最高品質のプレミアムなカレー『The ボンカレー』を発売し、翌年には『ボンカレーゴールド』に使用の具材を国産化するなど食べる人のニーズに合わせて、味、材料、調理法の改良を重ねてきた。

フタをあけ箱ごと電子レンジにかけて2分で食べられる。忙しい女性たちの強い味方だ
フタをあけ箱ごと電子レンジにかけて2分で食べられる。忙しい女性たちの強い味方だ
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「レトルトカレーには保存料が大量に入っている」と、いまだに思われているが、これは大きな誤解。19世紀、ナポレオン時代のフランスで、食品を瓶に詰めて密封し、それを湯煎で温度を上げて殺菌するという瓶詰が発明された。これと同じ手法で、瓶ではなくパウチ袋を用い、さらに加熱時に容器が膨張して破裂するのを防ぐために高圧をかけたのがレトルト食品。だから、保存料なしでも、食品を長期保存できるのだ。

 また、通常のレトルトカレーは、甘口をベースに辛味を加えて中辛、辛口にしているが、『ボンカレー』は甘口にはフルーツたっぷり、中辛にはビーフを多めにと、カレーのレシピ自体を辛さに応じて変えている。

 こうした消費者に寄り添い、安心・安全を常とした企業努力こそ『ボンカレー』が発売以来50年間、愛され続けた理由なのだ。