「世代間格差を是正しようという動きはあります。かつては物価や賃金の上昇に合わせて年金額が引き上げられていましたが、'15年からは『マクロ経済スライド』という仕組みが発動し、賃金や物価の伸びほどには年金額が伸びないようになっています。

 年金世代にはたまったものではありませんが、残念ながら、それでも制度が維持できるようになるわけではありません。この30年間、有効な少子化対策が打てなかったので、年金制度そのものに無理が生じているのです」

年金がもらえない!?

 頭に来るのは、年金が減らされるばかりか、手続きミスなどできちんともらえないケースがあること! 

 '07年に発覚した「消えた年金記録」問題の解決は道なかば。昨年9月には約10万人が年金を過少支給されるという「未払い年金」の問題が発覚した。

 これは、主に元公務員の妻のうち、「振替加算」という加算金がもらえるはずの人が、日本年金機構と共済組合の連携不足や機構の処理ミスなどが原因で、もらえていなかったというもの。いったい、どうなっているのか。

「国民ひとりひとりの何十年にもわたる年金データを管理する責任は重大です。なのに、それを取り扱っていた旧社会保険庁、その職員の意識がとんでもなく低かった。年金記録問題が発覚して旧社会保険庁が解体され、日本年金機構に変わってからも、その無責任体質は変わらなかったということですね。

 以前からの年金記録問題については、会社員の年金手続きが各企業にゆだねられていて、そこでのミスも多発したという事情もあるでしょう。元号改正も控えていますから問題が出ないか心配になります」

 これから年金制度はどうなっていくのだろうか。保険料アップや給付減、受給開始年齢の引き上げがささやかれているが、いつ実施されるか気になるところ。