敵か味方か、邪魔者かフィクサーか

 はたして、羊姐さんは主人公・有村にとっての敵なのか、味方なのか。心理戦で男を狙う凄腕ハンターなのか、それとも女の恋心を擁護する恋愛至上主義者なのか。

 性別、年齢、立場に躊躇(ちゅうちょ)することなく、好きになったら突進せよ、と煽る存在でもあるからだ。単純に見えて、実に複雑な立ち位置。アラフォーの羊姐さんが名言を吐くたびに空回りしていく様子を、ドキドキしながら追っている。

 もちろん、なかには「羊が邪魔!」「羊はいったい何?」「ついでに友近も何なの?」と、劇中からアラフォーの登場人物を追い払いたい視聴者もいるようだ。

 羊と友近が生臭い説教をたれるたびに、舌打ちする人も。でも、背中を押したかと思えば、急に戒め始めたりで余計な知恵を授ける存在、それも世間の象徴なんだよ。

 15歳だった岡田健史は、次回から18歳になっている。成長した岡田はどうするのか、退職した有村は何をしているのか、傷ついた町田はどうなったのか。

 そして、羊姐さんの恋心の行方は……? たぶん羊姐さんが吐いてきた珠玉の言霊が、3年たった後でもじわじわと効いていくに違いない。


吉田潮(よしだ・うしお)◎コラムニスト 1972年生まれ、千葉県船橋市出身。法政大学法学部政治学科卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。医療、健康、下ネタ、テレビ、社会全般など幅広く執筆。テレビ『新・フジテレビ批評』(フジテレビ)のコメンテーターも務める。また、雑誌や新聞など連載を担当し、著書に『幸せな離婚』(生活文化出版)、『TV大人の視聴』(講談社)ほか多数。新刊『産まないことは「逃げ」ですか?』に登場する姉は、イラストレーターの地獄カレー。公式サイト『吉田潮.com』http://yoshida-ushio.com/