ほんまにSNSの正しい使い方、わかってない! これは「誰のための謝罪」でしょうか。被害女性の感情を逆撫でしただけです。自分が記者会見の前に、なんとか「謝罪したという事実」が欲しかっただけやん、と思われてもこれまた致し方ない!この時点では市議はまだ辞めるつもりはなかったようですが、謎の「SNSは一旦やめます」宣言。いや、そういうことじゃないねん!なんか全部ズレてませんか?
辞職しても消えない“ネット情報”
この前の神戸の教員いじめ事件で「子どもたちがかわいそうなので当分給食にカレーを出すのはやめます」って発表したくらいズレてるねん! なんやあれ! カレーが悪いんちゃうやろ! ただでさえ元気のない子ども達の給食から大好きなカレー奪ってどうするねん! ……と、思わず話題もズレてしまいましたが、こうして、間違いを起こした市議は、その後の対応をことごとく間違え、謝罪のタイミングもやり方もこれまた間違えてしまったのです。ほんま、こんなに間違える人に市のいろいろ大事なことを任せて大丈夫なのかな、と市民の皆さんもさぞかし心配になったことでしょう。
この件によって、自身もネットで叩かれ、電話で非難され、「女性の気持ちが身に染みてわかった」という市議。もちろん、市議自身も怖く辛い思いをされたことでしょう。しかし、そこは一緒にして語ってはいけない。だって、女性には何の落ち度もなかったのですから。自分のやったことがキッカケで世間から責められている市議と、何も悪いことをしていない女性が突然大勢の人から激しく責められ味わった理不尽な恐怖や辛さとでは、比べ物にはならないはず。比べちゃいけないはず。挙げ句の果てに「この経験をもとに今後こんなことがないようにしっかり情報を発信していきたい」って、いや誰がどの口で言うてんねーん! もうあなたは何も発信せんでいい! そういうことを言いたいのなら、まずはきちんと自分のやったことの責任をとってからやー! ……と、憤っていたところ、辞任のニュースが飛び込んできました。辞めるべきは、SNSではないことに気づかれたのでしょうか。
今回、市議が辞任したからといって、女性の誤った情報がネット上から消えるわけでも、心の傷が消えるわけでもありません。そして、その他大勢の同じことをした人たちは何のお咎めもなく、普通の生活をしているのです。
いい歳こいて「自分が最初にやったわけじゃないから知らん」「みんなやってるからいいと思った」「自分だけが悪いわけじゃない」。
だいたい、世の中にこんな感覚でSNSやっている人が多すぎ! いつでも自分が加害者になり得る怖さに気づいていない人が多すぎ! なのです。
シェアやリツイートで拡散するのはボタン一つ。人の意見や、人が載せた不確かな情報をポチッとするだけ。この時点で、「発言への責任感」が全くないから、それが間違っていた時の「罪悪感」も希薄なのでしょう。たくさんシェアされた意見ほど、その人数の分だけ、薄まっていく。しかし、そのボタン一つが、誰かの幸せを破壊するかもしれないこと、何かあったときに自分にも責任が生じ、罪に問われても仕方ないということを、SNSをやる人はいま一度強く認識するべきですね。
市議の起こした一連の行動は、なぜここまで間違えてしまったのか。
それは、すべてのポイントで「自分のことしか考えていなかった」からではないでしょうか。他者への思いやりや反省などの「心」があれば、絶対にやらないことをしてしまい、できたであろうことをしなかった。気づくポイントはたくさんあったはずなのに、最後まで気づかなかった。だからこそ、ここまで来てしまったのでしょう。
人間、誰にでも間違いは起こる。努力をしても、起こってしまうのが過ちです。しかし、その時に人の気持ちを考えて行動できるかどうかで、その後は大きく変わる。結果的に、市議がこの経験をもとに伝えたかった形とは違うかもしれませんが、慎重さを欠いた大きな間違いには大きな責任がついて回るということだけは、子ども達にしっかり伝わったと思います。
これからの時代、子どものほうが学校や親に最初から厳しく教えられている分、ネットリテラシーは高くなっていくでしょう。いきなり人生の途中からスマホを持ってしまった(私も含めた)おじさんおばさん世代にこそ、しっかりとした教育が必要なのかもしれません。
プロフィール
野々村友紀子(ののむら・ゆきこ) 1974年8月5日生まれ。大阪府出身。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属の芸人、2丁拳銃・修士の嫁。 芸人として活動後、放送作家へ転身。現在はバラエティ番組の企画構成に加え、 吉本総合芸能学院(NSC)の講師、アニメやゲームのシナリオ制作など多方面で活躍中。“主婦から共感の声続出!”211項目を数える家事リストを掲載した新刊『夫が知らない家事リスト』(双葉社)が絶賛発売中!」