数千人、数万人とも言われるアナウンサー志望者から選ばれた、しかも“エース”候補として迎え入れられた久慈アナ。そんな彼女が5年で退社とあっては余程の理由だったのだろうが、この決断は「若手アナのトレンドになるかも」とは大手広告代理店営業スタッフ。

「元TBS田中みな実さんの成功例があってのこそだと思います。2009年に同局に入社した田中さんも、人気アナとして活躍していた5年目の27歳でフリーに転身した身。しかも久慈アナと同じ青学出身で、学生時代からモデル経験ある“タレントアナ”でした。彼女たちには常日頃、芸能事務所からお誘いがかかりますから」

 同様にエース候補としてTBSに入社し、“あざといキャラ”を確立すると同局のバラエティー番組に欠かせない存在となった田中。ところが2014年9月に自身のブログで突然の退社を発表。当時は理由を《広い視野で、環境で、挑戦していきたい》としていたのだが、昨年5月の『伊集院光とらじおと』(TBSラジオ)で真相を語っていた。

余力があるうちに外に出た方がいい

 在籍時には常々「帯番組をやりたい」と上司に掛け合っていたという田中だが、待てども番組改編時のキャスティングに一切名前が挙がらなかったとして、

《私は“このままずっと今の感じでぶりっ子を30歳までやって、需要がなくなってしまったらどうしよう”と思って。だったら、まだ余力があるうちに外に出て、もしかしたら外の方が帯番組をやれるチャンスがあるかもしれない》

 30歳を迎える前に、若いうちにフリーになる方がメリットがあると判断。「女子アナにはかねてより、“30歳定年”なる業界の都市伝説のようなものがありました」とは芸能ジャーナリストの佐々木博之氏。

「毎年入社してくる若手アナや、人気フリーアナに押し出されるように、30歳を過ぎるとナレーションや番組合間のニュースなどの“裏側”に回されて、画面から消えていくというものです。それを機にフリーに活路を見出すことは少なくはありません。

 ただ、引く手数多の売れっ子アナならいざ知らず、ベテランになったフリーアナに開かれた道は狭いもの。ですから30歳になる前に、できるだけ若いうちにフリーになった方が、アナウンサー以外にも活動の選択肢が多いのだと思います」

 確かに、27歳にしてフリーに転身した田中の活躍ぶりはご存知の通り。念願の帯番組のメインキャスターを任される一方で、アナウンサー業の他にも大胆なショットを収めた写真集は60万部を突破。努力する姿を隠さずに見せることで、女性からの支持を集める“美のカリスマ”として君臨。

 さらに勢いは止まらず、女優業にも進出。ドラマ『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日系・2020年)での怪演が話題になると、昨年には映画『ずっと独身でいるつもり?』で主演を務めるなど、局アナ時代よりも充実した芸能生活を送っているように見える。