軽い怪我はおいしいんだよね
好きなタイプやアダルト女優の好みは「熟女」。だからといって10歳年下の妻のことを〈かみさんもそろそろ熟女の対象に近いかな〉と、ここでもツッコミたくなるが、落ち込んだりしたときに顔を見ると、〈“なんか、まぁ、俺は大丈夫かな”って思っちゃうことあるね〉というところがかわいい。
全編にわたる上島竜兵ワールド。『お笑いウルトラクイズ』の「バス吊り下げアップダウンクイズ」で死にかけそうになったり、リュックサックに仕掛けられた爆弾が爆発して後頭部が焼けて500円ハゲができたり、人間大砲的なもので発射時に全裸になったり(〈服が綺麗に脱げるよう仕込むのに2時間くらいかかるの〉だそうだ)などなど、お笑いに関するエピソード、志村けんさんビートたけしへの思いなども、もちろん満載の一冊だ。
〈軽い怪我はおいしいんだよね〉とサラリといい、熱湯や熱々おでんなどの際のリアクション芸は、「殺す気か?」「訴えてやる!」、そして「これが俺の芸風だぁ!」といった、最後の一言が大事で、そこにこだわると明かす。
終盤、ここまで2人のメンバー(肥後克広・寺門ジモン)、ビートたけし、志村けんさんなど、いい人とばかり巡り会え、運にも恵まれていたと感慨深く記す竜ちゃん。
ダチョウ倶楽部のメンバーで最初に天国に行くのは〈やっぱ俺かな。俺だろうな〉と、〈優しい感じのうすら笑い〉を浮かべながら想像していた。
いつかこの世を去ったとき、
「笑えないよ、竜ちゃん!」
とツッコむことが、精一杯だ。そんなふうに思ったとき、
(文/太田サトル)