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ー 希代の「モンスター子役」
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ー 転機というより“危機”

 NHK朝ドラ『らんまん』で新旧の天才子役が共演した。主役の植物学者を演じる神木隆之介と、その協力者となる少年役の寺田心だ。

 撮影当日が15歳の誕生日だったという寺田。その成長ぶりに驚いた人もいるだろう。身長も伸びたが、最大の変化は「声変わり」をしたこと。あの高い声もちょっと舌足らずなしゃべり方も消え、別人のような印象すらある。

希代の「モンスター子役」

 ただ、子役時代はその声としゃべり方が独特の魅力だった。例えば、店員を演じたブックオフのCM。

「ちょーヤバイんですけどぉー 本が全品20パーオフって 浮いた分でタピオカ飲めんじゃーん」

 などとまくし立て、強烈なインパクトを残した。

 世間の反応はもっぱら「ムカつくけど面白い」というものだったが、なかには「ムカつく」ばかりが勝ってしまう人も。2021年には、皮肉な騒動も起きた。

「この指とめよう」と名乗る、ネットの誹謗中傷をなくそうとする団体の代表が過去に寺田を誹謗中傷していたことが判明。その団体は解散する羽目となった。誹謗中傷に敏感な(?)人までも、指を止められないほどの何かを彼が持っていたともいえる。

 その「何か」とは、彼が希代のモンスター子役だったことに関係している。子役は基本、容姿や声の子どもっぽさと大人っぽい芝居や言動のギャップが持ち味だが、彼はこのギャップが特に大きかった。それゆえ、常人にはないモンスター感が生まれ、いくらいじっても許されるような感覚を持つ人も出てきたわけだ。