あのカバー曲は「正直、戸惑いました」

 歌手として『卒業』や『情熱』など甘酸っぱい青春の歌を歌い続けた彼女が、いきなり井上陽水の『夢の中へ』を大胆なアレンジでカバーしたときにも、同じ感情を抱いたそう。

「ディレクターさんから曲を渡されたときに“エッ!?”って正直、戸惑いました(笑)。でも、当時の私は断るという考えが思いつかなかったのもありますが、とにかく“これやるんだな”って、なんであれ投げられたものを必死になって打ち返してばかりいたんです。それが振り返ってみれば、ナレーションだったり物を書く仕事だったりと、新しい仕事につながっていった。

 これは若い人にも言えますが、“無理です”ってすぐに断らず、何事も経験する、とりあえずやってみることは大事なんだなって思いますね」

斉藤由貴 撮影/伊藤和幸

 芸能生活で新たな発見もあったという。

「昨年秋に『The Covers』という番組で、司会のリリー・フランキーさんが私の『AXIA』という曲がすごく好きって言ってくださって。そうしたら実はあの曲好きですって方がほかにもたくさんいらして驚きました。だって、彼女がほかの男と二股かけてますって告白する歌なんですよ。こんなひどい話の歌を歌える私って恵まれているなって(笑)。面白いなって思いながら、あの歌を見直してます」 

 スター街道を駆け上がった彼女は'94年に結婚。3児の母に。

「もう長女が17歳、長男が13歳、次女が12歳です。いちばん下の子はまだ甘えてくれるんです。子どもに触れたり抱きしめられる時期って、あっという間ですよね。もう少ししたら甘えさせてくれなくなると思うので、失われゆく時間を惜しみながら愛(め)でる感じです(笑)」