名古屋発

高2女子飛び降り自殺から10年「悲しみは少しも薄れない」

2016年01月12日(火) 11時00分
〈週刊女性1月26日号〉
2016年01月12日(火) 11時00分
〈週刊女性1月26日号〉

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 亡くなったのは高橋美桜子さん(享年16)。名古屋経済大学市邨中学校(名古屋市千種区)の在学中にいじめを受け、ショックから立ち直れなかった。2006年8月18日、高校2年生のときに投身自殺した。母親の典子さん(57)から話を聞いた。

 愛知県刈谷市内の自宅2階の仏壇の横には、幼少時からの写真と花が飾られている。典子さんはこの場所を「つながる場所」と呼ぶ。今も同級生が手を合わせに訪れる。

 典子さんは、美桜子さんが生前追いかけていたバンドのライブに出かける。娘を肌で感じたいから。会場ではライブ仲間と会う。

 美桜子さんの誕生日は12月30日。生きていれば26歳だ。典子さんは「いまだに心が晴れることはない。悲しみは少しも薄れない」と涙ぐむ。

 今でも仏壇になかなか手を合わせることができず、墓参りもできない。ただ、誕生日だけは大好物だったモンブランを墓前に供える。

 美桜子さんはカナダ人の父親と典子さんとの間に生まれた。一家はカナダで暮らしていたが、美桜子さんが1歳半のとき両親が離婚。4歳のときに日本に帰国した。典子さんは、美桜子さんが通っていた市邨学園が運営する短大で教員として働いていた。

 美桜子さんは中学1年生の2学期のころ、「体調が悪い」と登校を渋った。典子さんは甘えているだけと思ったが、美桜子さんは「いじめられているから行きたくない」と叫んだという。我慢できなくなり、「もう市邨だけは嫌だ」と訴えて転校した。ストレスで体重が増えていた。

 転校先の公立中学校や進学先の私立高校ではいじめはなかった。しかし、後遺症として、PTSD(心的外傷後ストレス障害)や解離性同一性障害(いわゆる多重人格、DID)と診断された。

 パニックになると声が出なくなり、典子さんと筆談した。そのメモが残っている。

《もうだめ/しにたい》

《このまんまじゃいつまでたっても、ふつうの女の子には戻れないじゃない!!》

 発作に襲われると、美桜子さんは「“死ね”と言われている」と、いじめを再体験したかのようになったという。

 典子さんが用事で家を空けた夜、自宅マンション8階から飛び降りた。自宅のテーブルには破いたノートに、典子さんと友人にあてた「遺書」のようなメモが置かれていた。

《まま大好きだよ。みんな大好きだよ。愛してる。でもね、もうつかれたの。みおこの最後のわがままきいてね。こんなやつと友ダチでいてくれてありがとう。本当にみんな愛してるよ。でも、くるしいよ》

 美桜子さんとは「ママはマブダチだよ」と言うほど何でも話せる親子関係だった。典子さんは「美桜子は“ママにだって言っていないいじめもある”と言っていた。何があったのか知りたい」と話す。

取材・文/ジャーナリスト・渋井哲也

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