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 昨年2月、深夜の多摩川河川敷で、わずか中学1年の少年・上村遼太くんが年上の不良グループに惨殺された。主犯格の少年Aに対し検察側は懲役10~15年を求刑。10日には判決が下る。

 上村くんの死から、20日で丸1年がたつ。第2の“カミソンくん”を出さないために、行政や学校は、新たな取り組みを始めたのだろうか? 街や人々は、事件前と何か変わったのか? 有志ボランティアの1人で、昨年7月、現場に花壇を作りひまわりやハイビスカスを植えた50代主婦は、こう答える。

「天国の遼太くんの心が少しでも晴れれば、と思って仲間と植えました。でも、街は何も変わっていません。1年もたつのに、この場所に街灯ひとつ立てられない。夜になったら、真っ暗なままです」

 犯行後、被告らが上村くんの服を燃やした公園の公衆便所はしばらく規制線が張られ、誰も寄りつかなかった。

「最近やっと、ちらほら遊ぶ子が増えてきて、うちもいいかなと思って来てみました」(小さな子どもを遊ばせていた30代の主婦)

 だが、「暗くなるとガラの悪いグループがうろつくこともあって、大人の私でも怖い。夕方以降は子どもを出歩かせたくないですね」と警戒を緩めない。

 1年前、中高生が夜遅くまで集まり騒いでいた大師公園やその近くの遊技場、ホームセンターには、タバコを片手にたむろする少年少女たちの姿が変わらずあった。鋭い目つきでこちらを威嚇する子も。

「“事件があったから怖いし、夜遊びはやめよう”とは思わない。何かあって当たり前」

 続いた言葉に胸が痛んだ。住む町に潜む魔の誘惑がいつ、少年たちを犯罪へと引き込むかわからない。

 献花に訪れた40代主婦も、子の行く末を心配する。

「子どもを被害者にしたくないのはもちろんだけど、加害者にもなりうると考えたらゾッとします。親が気づかないうちに非行に走り始めてしまうこともあるかもしれない」