識者に聞いた

TPP「狙いは“国民皆保険つぶし”でなく“形骸化”」

2016年01月16日(土) 16時00分
〈週刊女性1月26日号〉
2016年01月16日(土) 16時00分
〈週刊女性1月26日号〉

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 TPPの大筋合意が報じられた昨年11月から、テレビや新聞は歓迎ムード一色。生活への影響は大。何がどう変わって、いったい誰がトクしてソンするのか? そこで識者にTPPによる変化について教えてもらった。

 近い将来、TPPが発効すると、アメリカ医産複合体は日本の医療制度に必ず食いこんでくると『沈みゆく大国アメリカ 〈逃げ切れ! 日本の医療〉』(集英社新書)などの著書で知られるジャーナリスト・堤未果さんに話を聞いた。

 アメリカの医産複合体は、日本の皆保険制度を破滅させることはしないと堤さんは断言する。

「彼らは全国民が加入し、未就学児10割、大人7割を税金が負担する日本の皆保険制度を残したまま、アメリカのように適用範囲を風邪や小さなケガなどに狭めたい。そうすれば日本人の税金が外資製薬会社や民間保険会社に流れるからです。狙いは“国民皆保険つぶし”でなく“形骸化”です」

 こうなると、見えてくるのは「金持ちしか助からない」という将来図だ。アメリカで自己破産した人のうち、原因の6割を医療費が占めるという。今後、日本もそうなるのだろうか。

 TPPで、堤さんがもうひとつ問題視するのがISD条項。相手国に投資した企業が相手国の政策によって損害をこうむった場合、相手国を提訴できる制度だ。

 アメリカの製薬会社が“日本政府が薬価を安価に維持するのは、公平な競争を邪魔している”と訴えることも可能になる。

 その裁判所となるのが、世界銀行傘下の『国際投資紛争解決センター』。3人の裁判員が判決を出すが、ひとりは訴えられた国から選ばれ、ひとりは訴えた企業から、もうひとりは、双方が合意した人。そんな人は現実にはいないから3人目は世銀総裁が指名する。世銀総裁はずっとアメリカ人。はたして、アメリカのISD裁判での敗訴はゼロ。

 訴えられた国は勝っても負けても最低約8億円の弁護士費用の一部支払い義務があり、さらに裁判に負ければ、数十億から数百億かもしれない賠償金を支払う。

 TPPから私たちは逃れられるのか。まだ時間はあると堤さんは訴える。

「大筋合意は最終決定ではありません。まだ各国での“承認採決”が残っています。TPP全文は公開されましたが、日本政府は1月7日に日本語訳の全文を公開するまで ほんのわずかな翻訳しか出していませんでした。

 いま、全文を準備できたとのことですが、これも国会議員が直接要求しないと出てこない。ほかの参加国のように、政府みずから積極的に公開することが日本ではないので、国会議員の意識にかかっているということでしょう。

 医療だけでも私たちの暮らしを大きく変えてしまう内容なので、アメリカでも反対の声は大きい。中身を全部読まずに契約したらダメです。読者には、周りの人や地元の国会議員にTPPの中身によく注意するよう、ぜひ呼びかけてほしいですね」

取材・文/樫田秀樹(ジャーナリスト)

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