石崎芳行氏が代表に就任

東電福島復興本社代表「“生活を返してくれ”が一番つらい」

2016年01月08日(金) 11時00分
〈週刊女性1月19日号〉
2016年01月08日(金) 11時00分
〈週刊女性1月19日号〉

futaba0108

 東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発(以下・1F)の事故から4年9か月。東電は「福島への責任を果たす」として、’13 年1月に福島復興本社(楢葉町)を設置。福島第二原発(以下、2F)の元所長・石崎芳行氏(62)が代表に就任した。

 東北電力女川原発(宮城県牡鹿郡女川町、石巻市)では過去最大の津波を前提に対策を取っており、事故が起きなかった。だが1Fは地震と津波で全電源を喪失。原子炉を冷却できず、事故につながった。

「危機意識の差です。原発事故は起きないという傲慢な発想が東電社内に蔓延していた。

 2F所長のとき、運転員の訓練を見ていたが、外部電源が使えないときは非常用ディーゼルを、ディーゼルが使えないときはバッテリーを使うことを想定しました。が、バッテリーが使えないときは考えていませんでした」

 東電はトラブル隠しが発覚するなど、これまでも隠蔽体質があった。1Fと2F、柏崎刈羽原発(新潟県)では、1980年代から’90 年代までに点検時のひび割れを隠すなどのデータ改ざんがあった。2000年に内部告発があり、明らかになった。

「当時の経営陣が辞めることになったが、それ以後、何かトラブルがあるたびに改善してきたつもりでした。それでも〝原子力施設は事故が起きない〟という前提でいました」

 実害についてはどう見ているのか。

 例えば、福島県の県民健康調査検討委員会によると、事故当時18歳以下だった約38万人を対象にした甲状腺検査の本格検査(‘14 、’15 年度)の結果、先行調査(‘11 〜’13 年度)と合わせると“がんと確定”は115人。“がんの疑い”は37人だ。

「責任を持った発言ができない。細かくチェックすれば、がんと診断される人は増えるという説もあるが、放射線はできるだけ浴びないほうがいい。専門家による、データをもとにした冷静な議論が必要です」

 また、帰還困難区域の浪江町津島地区32世帯117人は、国と東電に対して原状回復と損害賠償を求め、提訴している。

「事故の影響は大きく深く、複雑だと感じます。“賠償はしなくていいから、生活を返してくれ、そうすれば何もいらない”と言われることがいちばんつらい。正直、原状回復はできません。まずはお金での賠償ですが、それでも心の満足を得られないことも見てきています」

取材・文/渋井哲也(ジャーナリスト)

関連記事

ニッポン
4年半ぶりに家に...

楢葉町、「避難解除」も帰還せず

2015年10月22日(木) 16時00分
〈週刊女性11月3日号〉
ニッポン
被ばく者は被害者...

原発元作業員、がんを同時発症

2015年10月24日(土) 11時00分
〈週刊女性11月3日号〉
ニッポン
政府の「えげつな...

原発再稼動の経済的”事情”

2015年10月21日(水) 11時00分
〈週刊女性11月3日号〉
ニッポン
ニッポン列島は「...

最も危険な「核のゴミ」所有国は

2015年10月22日(木) 05時00分
〈週刊女性11月3日号〉
ニッポン
3.11から4年...

鎌田慧、”再稼働”の手法に苦言

2015年10月20日(火) 16時00分
〈週刊女性11月3日号〉
ニッポン
愛媛県議会での承...

原発再稼働、次は伊方か

2015年10月21日(水) 05時00分
〈週刊女性11月3日号〉

オススメ記事

インフォメーション
アンケート募集

美意識が高いアラフォー女優は?

2016年06月27日(月) 06時00分
〈週刊女性PRIME〉
お笑い芸人
8月12日発売、...

キンコン西野がビジネス書を出版

2016年06月24日(金) 16時00分
〈文/西野亮廣【連載第1回】〉
ファミリー
高須クリニック・...

高須院長、海老蔵の会見を絶賛

2016年06月24日(金) 05時00分
〈週刊女性PRIME〉
インフォメーション
9月から大阪&a...

「おそ松さん」舞台化に密着

2016年06月23日(木) 18時00分
〈「週刊女性」本誌よりお知らせ〉

ページトップ