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 8月に100円ショップの『ダイソー』から発売された『エスポルールネイル』に、化粧品への配合が禁止されている化学物質・ホルムアルデヒドが検出されたことが判明。該当商品を含む全商品が回収されることになった。

 実はこの物質、以前にもシックハウス症候群という健康被害が問題になったことがあり、毒性があるのは確かで発がん性物質にも認定されている。

『中国食品工場のブラックホール』(扶桑社)を書いた福島香織さんは、中国人自身も自国の製品を信用していないと言う。

「ネイルどころか、中国では食品にも当たり前のように使われていますよ。貧しい地域のレストランではホルマリンの刺激臭のする野菜が出てくることも。“爆買い”現象が知られるようになりましたが、彼らは化粧品やサプリメントなど日本製品を買い漁っていますよね。粉ミルクや紙オムツなども買い占めています。赤ちゃんなどの弱い者には自国のものを与えたくないということなんですね」

 危険な製品が出回れば、最初に危険にさらされるのは中国に住んでいる人のはずだ。それなのに、こうした問題が収まらないのはなぜなのか。

「いちばん大きいのは製造者側が消費者の安全性という考えを持っていないことです。彼らはたとえ違法だとわかっていても“言わなければいいや”“わからなければいいや”という意識なんです。消費者側に立つ教育を受けていないので、目の前の商売を成功させることしか考えていない。中国に“創業何年”という昔から続く会社や店が非常に少ないのは、そういう事情があるからなんです」(福島さん)

 格安ショップ業界は中国製品に頼っているという事実がある。チェック機能を高める必要があるが、簡単なことではないようだ。

「日本企業は主に中国の工場から上がってくる書類をチェックして安全面を確認します。でも、彼らは書類の偽装を当たり前のようにしてくるんですね。今回のエスポルールは新商品でしたが、定番品ほど危険です。1度発売した後は伝票上のやりとりだけになるので、製造過程で手を抜いたり、安い溶剤に替えて儲けようとしたりする。“ズル”をしがちなんです。これは国民性なのかもしれませんね。ミャンマーやタイなどではこういったトラブルは聞かないですから」(『中国危険産物取り扱い読本』著者・椎名玲さん)

 書類でチェックできないなら、現場を押さえるしかない。

「中国の工場を立ち入り検査する企業もあります。でも事前に知らされていれば取り繕うことができるので、実態を探ることは難しい。ならば抜き打ち検査をしたらという話になりますが、経費やスケジュールの関係もあるので、そんなに頻繁にはできないのが現実でしょう」(福島さん)

 今回の例ではダイソーはどんな検査を行っていたのか?

「通常、商品の検査は製造前の成分検査、製造サンプル検査、出荷前サンプル検査などを実施しています。エスポルールネイルを製造した工場では、弊社の商品はエスポルールネイルのみです。今後の新商品に関しては、検査回数や内容を見直す予定です」(大創産業・広報室)

 すぐに安心できる状況になるとは言えないようだ。

「“安かろう、ということは危険だろう”の意識を持つことが必要です」(椎名さん)