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 血税を含む政治資金で家族旅行をしていた疑惑などが報じられた東京都の舛添要一知事(67)。舛添氏の政治資金私的流用疑惑はほかにもある。

 自宅近くの高級天ぷら店で3回飲食した計5万2550円と、イタリア料理店で4回飲食した計19万6761円。神奈川・湯河原の別荘近くの回転寿司店で3回飲食した計4万7310円。

 舛添氏は、イタリア料理店での1件と、回転寿司店での1件について「政治活動に利用したかどうかまで確認できなかった」として返金する意向を明らかにした。

 また、一部マスコミ取材に対し、店側が「(舛添氏は)いつも家族で利用していた」と話していた天ぷら店での全3件は「私個人の飲食代が誤って計上されていた」(舛添氏)としてすべて返金するという。

 なぜ、個人や家族の飲食代と、政治活動の飲食代がごちゃまぜになったのか。

 舛添氏の説明によると、個人の財布から出したお金を事務所で常に20万~30万円貯めておき、ある程度使ったら領収証と引き換えに減った分を補塡するやり方を続けてきた。

 店が出す領収証は、あて名部分がたいてい白紙のままで、会計責任者がプライベートの支出と政治活動の支出を取り違えた。同じ店を公私で使っていたのでミスが起きたという。

「疑惑を持たれるのは政治家としてまことに恥ずかしいこと。今後は政治資金に精通した外部専門家にチェックしてもらうようにする。都民のみなさまに不快な思いをさせて申し訳ありません。深く反省し、2度とこのようなことがないようにします。都民のために今まで以上に働きます」

 と述べ、何度も頭を下げた。

 額装などの美術品やブランド物のポーチ購入、ホームセンターでの出費は問題がないという。報道陣から「ホームセンターで猫のエサを買ったのではないか」とツッコまれると、「お店の人は24時間、私のあとをついて歩かれたんでしょうか」と返した。

 領収証については、「昔からなんでも領収証をもらう習性がある。不良品を買ったときに領収証がなくて困った経験がある。いくら使ったかもわからない。大事な紙だ」とし、「それでケチだケチだといつも言われている」とも述べた。

 ジャーナリストの大谷昭宏氏は「ならばなぜ、あて名を書いてもらわないのか。白紙でもらうのが間違っている」と指摘する。

 政治とカネに詳しい日大の岩井奉信教授(政治学)は「政治家は公私を厳格に分けなくてはいけない」として次のように話す。

「そもそも家族旅行ぐらい自分の金で行けよという話。会議費として計上しているので、会議をしていなければ政治資金規正法の虚偽記載に問われる。上限が禁錮5年という重罪です。ただし、政治家のキャバクラ代もSMクラブ代もそうだけど、政治資金の使い道は法律上は自由なんです。政治家に都合のいい制度に問題があります」