連日テレビや新聞でも報道されている“英国のEU離脱”。

「今回の国民投票は'15年の総選挙で同国のキャメロン首相が実施を公約していたものです。結果として離脱派の勝利に終わりました。'73年に加盟した前身の欧州共同体(EC)を含めると43年にわたるEU加盟に終止符が打たれることに」(経済誌記者)

 残留派だったキャメロン首相は10月までに辞任の意向を表明。一国のトップが辞めるほどの大きな出来事なのだ。じゃあ、そもそもEUって? 今さら聞けないこちらの疑問から前出・経済誌記者に改めて教えてもらった。

「ECが発展して'93年にできたヨーロッパの地域統合体のことで、EUの中では、人の移動も国境を越えるときもフリーパス。国を越えて銀行に預金したり資本を借りることができ、関税なしでモノも輸出入できます。また、'02年に加盟国の通貨がユーロで統一され、EU各国で使えるようになりました」

 グローバル化が叫ばれる現在、とってもよさそうだが……。そのあたりの事情を放送プロデューサーのデーブ・スペクター氏に直撃してみた。

「法律的に移民を止めようがなく、年間何十万人も来ています。イギリスに溶け込むならいいのですが、そのままただ暮らしているだけの人が生活保護をもらったりして負担になっているんですよ」

 こちらもニュースでよく見る“移民問題”が大きな理由のひとつのよう。とりわけ、医療費が無料の制度を実施している同国にとって、増え続ける移民は“お財布事情”を圧迫しているようだ。

「だから、イギリスから見ると膨大なお金を使って、(病気に対して)国民1人に年間3万円ぐらい払っているんです。確かに経済的に得はしていましたが、だんだん抑えきれなくなってきたんでしょう。EUには経済力がまったく違う国も入っているので、貧富の差があるところで、豊かな国が貧しい国を助けなければいけないのかということになってしまう」(デーブ氏)

 デーブ氏は、こう続ける。

「新聞の影響も大きいですね。離脱か残留か、どちらがいいのかということを半年近くキャンペーンをしていますので、感化されやすい人が感情的になったと思うんですよね。経済的には残留したほうがいいけど、感情的にEUから離脱したという感じでしょうね。ほかにも離脱する国が、今後あるかもしれない」