SNSは怖くない!安心安全にTRYしてみよう

 週女世代はもちろん、シニア層も当然のようにスマホを持つようになった最近。子どもの連絡網はLINE、同窓会はFacebookで呼びかけ……などという時代になったものの、ネットは怖い! と思うあまり、最初の一歩を踏み出せないでいる方も少なくないはず。しかし、気をつけるべき点さえ抑えれば、無闇に怖がる必要はありません。注意点をしっかりと知って安全・安心にTRYしよう!

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「“ネットは怖いもの”と思い込んでいませんか? 最近、神奈川県座間市で、ネットに自殺願望を書き込んだ方々が連続して殺害される事件がありましたが、この事件の問題点はネットではなく、“死にたい”若者の多さと、それを悪用する犯罪者なんです」

 そう話すのは、ネットの安全利用に詳しいグリー株式会社の小木曽健さん。

「ネット自体は怖いものではない。正しく理解して使えば、ただの便利な道具です」(小木曽さん、以下同)

 ネットはあくまでも「道具」。だが、その向こう側にいる人間が犯罪をたくらんでいるかもしれない。

 例えば、「家族全員で海外旅行中です」と旅先の写真を投稿したら、ドロボウさんいらっしゃい状態になりかねない。

「家の所在地はバレていない? いいえ、“2ちゃんねる”などでは、たいていの情報が人海戦術ですぐに特定されています。ネットに書き込むということは、渋谷のスクランブル交差点で、その情報を書いたプラカードを掲げて立つのと同じ。ネットより交差点のほうがまだマシです。ネットは世界中の人が見るわけですから」

 悪口やウワサ話にも注意。

「SNSやネットに書けるのは、自宅の“玄関前に貼り出せる”程度の内容です」

 “隣の奥さんがウザイ”と書いて、玄関前に貼り出す人はいないだろう。

「SNSに投稿することは、ひとりで車を運転中につぶやいたひとり言を多くの人に聞かれているようなもの。意外かもしれませんが、SNSは自分の本当のキャラが見えやすい道具なんです。それを意識しながら投稿すると失敗しにくいです」

パスワード管理・設定で乗っ取りを防ぐには?

 投稿する内容のほかに重要なのは、パスワード管理と操作方法。

「すべてのSNSに同じパスワードを使う人がいますが、悪用されて乗っ取られる危険性があります。SNSごとにパスワードを変えることをオススメします」

 とはいえ、いくつものパスワードを覚えるのは大変。

 パスワードを管理するアプリもあるが、それ自体が乗っ取られたケースもあるそうだ。

「メモはあまりおすすめしませんが、やむをえない場合、IDとパスワードは別々にメモしておきましょう。どちらか一方がなければ、乗っ取りは成立しませんから」

 また、操作ミスで多くの人が失敗した経験をもつのが、LINEの“誤爆”。

「私は友人へのLINEを、間違えて仕事関係のグループに送ってしまいました……。誤爆を防ぐためには、背景にその人の写真を貼っておくといいでしょう

Facebookはミドル世代のためのSNS

 週女世代にイチオシのSNS活用法を聞いてみた。

「ミドル世代にFacebookはおすすめ。“若者のFacebook離れ”などといわれますが、そもそも若者より年配者のほうが機能を生かせるサービスです」

 Facebookは知り合いを探す機能が強力なので、何十年も会わなかった友人や知人を探してつながることができる。

「長く生きてきた人ほど楽しいSNS。私も10年間、会っていない友達とつながっています。10年会っていないのに、その人の投稿を見れば、彼が昨日食べたものを知れる」

 ツイッターとの違いは、

「Facebookはカラオケボックスで、ツイッターは路上で歌っているようなもの。知り合いの前で歌うのか、見知らぬ人の前で歌うのかという違いです」

 と小木曽さん。Facebookはすぐに反応を得られるが、ツイッターの場合、よほどのことがない限り反応がないことも多い。

「ミドル世代でもツイッターの特徴が性に合う、と使っている方もいます。座間の事件などから怖いと感じる人もいるかもしれませんが、不特定多数の人から多くの賛同を得られる可能性も高いです」

 それでも神経質になりすぎることはない。

「SNSは登録して、見ているだけでも楽しめます。投稿しなければ心配いりません。慣れてきて、自分が投稿したくなったときに始めればいいんです」

 まずは閲覧だけ……の気分で始めてみよう!

小木曽流SNS別注意POINT

■Facebook

 昔の友人や知り合いを見つける機能が強力で、ミドル世代にピッタリ。しかし、友達申請を受けるとき、見知らぬ人からの場合は要注意。詐欺のターゲットになってしまう可能性も。

■LINE

 SNSというよりメール要素が強いアプリ。注意点は伝える相手を間違えてトラブルになる「誤爆」。悪口を誤って本人に送ってしまい、大変なことになったという例も。最近「送信取消」の機能がついたが痕跡は残る。そもそも、悪口はネットに書きこまないのがベスト。

■インスタ

 ミドル世代より若者に人気。ミドル世代の利用は少ないとはいえ、「リア充」アピールはほどほどに。インスタのきらびやかな世界に魅了されて、自分の生活を盛りすぎないように。

■ツイッター

 拡散されやすい性質を持つので、思わぬ広範囲に拡がる可能性も。どこの誰が読んでいるかわからないことを意識して。また1度書いてしまったら修正できない(全削除はできる)ので、内容や表現には注意が必要。他のSNSを含めて愚痴や悪口、知られたくない情報は書かないのがベスト。詐欺師や犯罪者が読んでいるかもしれないという意識を常に持つこと。

「やらかした! やられた!」事件簿

■夜中のエロつぶやきが拡散!?

 ツイッターの性質を知らずに気軽に始めました。誰も自分のツイートなんて読まないと思って、すべての人が見れる設定にしていました。夫や子どもが寝た後に、若い男性とのベッドシーンを想像して、エロツイートをするのが楽しみになり、毎晩続けていました。すると、職場の男性がそれを見ていて、「あのツイートは何ですか?」と飲み会の席で聞かれて、ショック! 本名は出してないけど、友達の社員経由で拡散、バレバレというわけ……。(40代主婦)

■女子のフリした「インスタおじさん」炎上?

 外食をするたびにFacebookにあげていたら、妻が見つけて「あんただけおいしいモノを食べてズルイ!」と怒られたので、女子の名前でインスタを始めました。しかし、食べているものは、オジサンだからスイーツではなくラーメン、カレー、チャーハン。すると、「茶色のものばっかり」「ホントに女子?」とコメントが続々。さらに「言葉遣いが昭和すぎる」と神髄をつかれてショック! おしゃれ気分でウキウキにインスタしていたのに残念……。(50代男性会社員)

■見知らぬ男がグループLINEのぞき見

 お稽古事の仲間たちとグループLINEを作りました。ある日、同じメンバーの名前が2つあり、既読の数がグループの人数より多いことが発覚! LINEは電話番号が変わっても元の名前が表示されるので、間違えて、見ず知らずの他人をグループに招待していたんです。そのお稽古事はヒップホップダンス。ダンスのスタンプがバシバシ押してあるから、若い娘たちだと思ってのぞき見していたようですが……50歳過ぎのオバサンたちですみませんでした!(50代主婦)

■元不倫相手にLINEで友達申請、訴訟問題に

 職場の男性とダブル不倫をしていました。それがバレて、不倫相手の男性の妻から慰謝料請求があり、その男性とは「コンタクトをとりません」と誓約書を交わしました。携帯の電話番号を新しくして、縁を切ろうと思ったら、なんとLINEの「友だち自動追加」で元不倫相手に友達申請を送ってしまいました! 元不倫相手の妻がそれを察知し、誓約書に違反したと弁護士を立てて通告。LINEのちょっとしたミスが大事に……。初期設定、恐るべし!(30代主婦)


<教えてくれた人>
小木曽健さん◎グリー株式会社・社会貢献チームマネージャー。インターネット啓発に関する全国での講演、オリジナル教材の作成などを担当。著書に『11歳からの正しく怖がるインターネット』(晶文社)ほか。