裁判を終え自宅に戻った飯塚被告は、帽子にマスクで杖を持ち前を見すえて(12月3日)

「モニターが映し出されるときに被告は顔を上げるので、最初は(モニターの下にいた)私の顔を見ていると思っていた。でも、次第にそうではないことがわかって……」

 松永拓也さん(34)は、妻・真菜さん(享年31)と長女・莉子ちゃん(享年3)をはねた飯塚幸三被告の裁判に、被害者参加人として参加した感想をそう漏らした。

第2回公判は事故の目撃者3人が出廷

 昨年4月、東京・池袋で「プリウス」を暴走させ、11人の死傷者を出した事故の2回目の公判が、12月3日に開かれ、事故の目撃者3人が出廷。

 3人とも「プリウスは減速していない」「ブレーキランプは1度も点灯していない」と証言した。

「過失運転致死傷」などが問われている裁判で飯塚被告は車の異常による無罪を主張。

 事故直後から逮捕されずに捜査が進み、東大卒や旧通産省工業技術院元院長という肩書もあり“上級国民”として非難の的となってきた。

 週刊女性は、前回の初公判で、被告は裁判に向き合わず、睡魔に襲われていたのではないかと指摘し、今回も注視した──。

 弁護人に車イスを押されて法廷に現れた被告は、やはり下を向いたままの状態が圧倒的に多かった。

 裁判は午前10時を過ぎて始まり、法廷でのメモを振り返ると……。

深くうつむき、眠っている?

10時15分 ずっと下を向いていた

10時31分 じっと前を見つめていた。1人目の証人が退出すると、また下を向いて眠っているようにも

10時45分 また深くうつむき、眠っている?

10時54分 深く下を向いて眠っている? モニターはまったく見ない

 今回は、証人たちが提出したドライブレコーダーの映像(写真)が映し出される大型モニター2台を法廷に設置。 

 被告は当初こそ一瞬、見上げたことはあったが、ほぼうつむき加減でうなだれているのか、思い出したくないのか。ウツラウツラとしているようにも……。

11時05分 検察と証人のやりとりにまったく関心なし? 下を向いて微動だにしない

11時11分 また下を。モニターはいっさい見ない

公判後、涙ながらに取材に応じる松永さん(左)と、真菜さんの父・上原義教さん

裁判後に都内の自宅を訪ねると

 90歳近い高齢者が、コロナ禍のなかで法廷に立つ過酷さを考えても、自分が裁かれる裁判に真摯に向き合い、無罪を主張していこうとする態度には思えなかった。

 池袋での事故前に、車の運転を控えるように、医師から言われていたとも報じられた飯塚被告。

 やはり車ではなく、被告の心身に“異常”があったのではないかと、裁判後に都内の自宅を改めて訪ねると──。

「取材ですか? お断りします。具合が悪いので……」(妻と思われる女性)

 今後の裁判では、車の欠陥についての検証は必要だが、飯塚被告に運転する“能力”があったのかも問われるべきかもしれない。