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 “ヘルシー”“ダイエット”という言葉に踊らされていませんか? 流行に敏感なのはいいけど、50代以上が無理に取り入れると危険なケースも!

野菜をたくさんとるよりも重要なこと

「テレビやネットで知った健康情報を手当たり次第にそのまま取り入れるのは危険です」

 そう話すのは、食育プロデューサーの吾妻聖子さん。例えばヴィーガン。“フェイクミート”を食べるなど、菜食主義は健康にも美容にもいいと言われているが、

「シニア世代にはまったくおすすめできません」

 と吾妻さんは断言。青汁を飲むなど、野菜を意識的にとっている読者も多いだろう。

「ですが、野菜を重要視しすぎて粗食になっている人が多い。タンパク質や炭水化物が不足すると、健康な身体を維持できなくなる。野菜をたくさんとることよりも、肉や魚、豆類、卵など多くの品目をとることのほうが大事なんです」(吾妻さん、以下同)

 食品目を多くとる高齢者ほど、生活機能の自立度が高いというデータがあるほど、健康に直結するのだ。そもそも、ヴィーガンで得られる大きな効果はダイエット。

「シニア世代は、若いころと違って食べ物から栄養を取り込む力が弱まっているため、放っておいてもやせていきます。野菜だけでは圧倒的に栄養が足りなくなる」

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 低栄養の状態だと身体の回復力が下がって切り傷や捻挫などのケガも治りにくくなる。すると身体を十分に動かせない時間が長くなってメンタルにも悪影響が及んで、さらに食が細くなるという負のスパイラルに陥る。

白砂糖は本当に身体に悪いのか

 こんなデータがある。

「東京都健康長寿医療センター研究所によると、BMI(肥満指数)の低いやせ型のほうが軽度や中度の肥満の人よりも死亡リスクが高いそうです。つまり、“小太りな人はやせている人よりも長生きする”ということ」

 ヘルシー志向が高まっている今、“コレは身体によくない”という情報を信じ込みすぎて粗食になっている人も多いという。そのひとつが“白砂糖は身体に悪い”だ。

「ネットで白砂糖と検索すると、“漂白剤で白くしている”“食べると骨が溶ける”なんて書いてあるサイトがありますが、まったくのウソです」

 白砂糖に含まれるブドウ糖は脳の栄養になるため、実は欠かせない栄養素のひとつだ。

 ちなみに、白砂糖を避けて三温糖を利用する人もいるが、

「実は白砂糖と三温糖は成分も作り方も同じ。後者が茶色いのは、熱を入れる時間が長いだけなんです」

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 ほかにもある。

「スーパーやコンビニで販売されているパンは保存料たっぷりだから日持ちする、と思っていませんか? これも間違い。実は保存料は入っていないんです」

 コンビニなどのパンは人が一度も触れずに完全無菌状態で作られているため、町のパン屋さんのものより比較的、長持ちするという。

「今のシニア世代は本当に若くて、好奇心も旺盛です。食のトレンドもどんどん取り入れています。ですが、その情報に踊らされて不健康な身体になっている人も多いです」

 食事作りが面倒な日はコンビニやスーパーのパンを食べてもいい、と吾妻さん。

「肩の力を抜いて食を楽しむことこそが、健康長生きの秘訣ですね」 

教えてくれたのは……食育プロデューサー 吾妻聖子さん
食育インストラクターの資格を持つ1児の母。テレビのプロデューサーをしながら、食育に関する講演やアドバイザーとして活動