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 50~60代向けの雑誌や書籍が売れ行き好調だ。

 そのなかでも特殊と言っていいほどの売れ行きを誇るムックがある。昨年10月末に発行された『60歳すぎたら やめて幸せになれる 100のこと』(宝島社)。

“オバチャンたちの井戸端会議”だと思って読んでほしい

 企画のきっかけは、男性誌で目にした「やめていいこと」をテーマにした記事だった、と編集を担当した小山田千世さん。

「いい記事だな、と思いました。でも男性より、むしろ女性のほうが抱え込んでいるものがたくさんあって、たくさんの意見が出てくるだろうなって思ったんです」

 そして集めた「やめて幸せになれる」100のアイデアは、人付き合いから健康、お金の使い方、生活習慣、家事、準備など幅広いジャンルにわたっている。そのほとんどが身近な人たちの経験によるものだ。

「いろんなジャンルの専門家だとか有名人だとかというよりは、市井の人たちの声を聞きたいな、と思いました。

 かつて取材でお世話になった方やスタッフの知り合いに協力してもらい、徹底的に話を集めました。それを編集して、“オバチャンたちの井戸端会議”のような雰囲気で読んでもらえたのがよかったのかもしれませんね」(小山田さん、以下同)

 加えて、表紙の中尾ミエさん(76)の前向きなキャラクターも好評だという。

 小山田さんは、このムックが売れたことで、シニア女性たちが多くのことを背負い込み、身軽になりたいと願っていると実感した。

「私の母は団塊世代。すごくガンバリ屋で、“そんなことやめてもいいんじゃない?”ということでも、まじめにやり続けています(笑)」

 だが、年を取れば誰しも“やらなきゃ”という気持ちがあっても、身体が追いついてこなくなる。

「そんなまじめな人たちが本の中の100個を読んで“これ、やめてもいいんだ”と気づきを得たり、“この本に書いてあるから、もうやらなくていいかもしれない!”と、免罪符のように思ってくれるといいですね」

 やめて身軽になったら、そのぶん、やりたかったことを始められる。何かを始めるためにやめるなら、“やめること”は決してネガティブなことではないのだ。

 小山田さんが集めた100のうち、10個を次のページで紹介する。やめる・捨てる・省くことで、さまざまなしがらみから解き放たれてラクになろう。それは人生の残された時間を、有効に使うヒントになるのかもしれない。

『週刊女性』読者は、コレをやめて幸せに

 アラ還以上の読者に実際に聞いた、“やめて幸せになれたこと”を次に紹介する。

 夫と2人暮らしのKさん(69歳)は来客用のお皿セットを、2枚残して処分した。

「もう来客に料理を出す機会も、いいお皿を飾っておく必要もない。残した2枚をふだん使いにしました。いつもの家庭料理が品良く見えて、食事の時間が楽しいです」

 健康のため日課にしていた朝のラジオ体操をやめたのはYさん(72歳)。

「娘に教わった簡単なストレッチに替えたら、体調も気持ちもラクに。時間を気にして行動しなくていいし、この年になるとラジオ体操もけっこうキツかったんですね」

 Hさん(67歳)は、お気に入りだった革製ブランドバッグを姪っ子に譲って処分。

「重くて使いにくくて、何しろ最近は持って出かけたくなる場所に行かないので(笑)。化繊の軽いバッグが、使いやすくてベストです」

 揚げ物は自分で作らず、スーパーの惣菜で済ませるとわりきったAさん(74歳)は、調理と片づけの手間なく美味しく食べられて、“なぜもっと早くそうしなかったのか”と思っている。

 還暦を機にタバコをやめたWさん(60歳)は、

「飲食店選びが簡単になってビックリ。タバコを吸えないストレスのほうがひどかったと気づきました。家計にも健康にもよくて、やめて正解」

 とホクホク。ほかにも、長時間を費やしていたSNSチェックをやめた人、占いで一喜一憂するのをやめた人、不倫をやめた人(!)、やめて手に入れたそれぞれの幸せを満喫している。

 さらに年を重ねると……?

やめてよかった10のこと

 60過ぎたら始めたいスッキリ、 サッパリ! 身軽な考え方

1.《お付き合い》冠婚葬祭を失礼する

 ふだん疎遠な親戚や友人でも、冠婚葬祭となると礼儀で参加するもの。でも、大切なのは形より気持ち。「最初に聞いたときに参加したいと思わなければ失礼する。年とともに多くなる訃報も、葬儀に参列しなくても心の中で故人を偲べばいいのでは」(精神科医、Tomyさん)

冠婚葬祭を失礼する

 例えば、ほとんど会ったことのない親戚の子どもの結婚式に何日も何万円もかけて出席しなくてもいいのだ。

2.《健康》人間ドックには行かない

 健康管理のために、人間ドックや定期健診のチェックは必須。ただし、それほど身体に不調なく70代になったら、症状もないのに検査を受けるのは時間のムダかも。「出てきた数値の粗探しをして落ち込むよりも、検査を受けずに明るく過ごしたい!」(Mさん、73歳)

人間ドックには行かない

 知りたくもなかった大きな病気。知ったところでなすすべもなければ、余計なストレスになるかも……。

3.《健康》ダイエットは頑張らない

 50~60代になると、無理な食事制限や運動をしてヤセても、シワが目立ってげっそりしてキレイに見えないのが残念! 足腰に負担がかかるほどなら減量が必要だけれど、ふつうの範囲なら年とともに筋力が落ちないよう、美味しく食べてほどほどに動くのがいちばん大切。

ダイエットは頑張らない

 適度にふくよかなほうが、頬のコケやシワ、たるみが目立たず美しい、という意見も多い。

4.《家族》夫の親への連絡は、夫に任せる

「夫の実家への連絡は長年、嫁の私の仕事だったけれど、親とは各自で連絡を取ることに。固定電話しかなかった時代と違って、スマホを持っているので義両親も直接、息子にかけられるから問題ない」(Kさん、60歳)。夫も積極的に連絡を取り合えば、実の親子同士で言いたいことを言い合えるはず。

夫の親への連絡は、夫に任せる

「義両親の方言が聞き取れないのに話を合わせるのが長年苦痛だった」という声も!

5.《家族》子ども、孫、親戚と距離をおく

 子どもの家の手伝いや孫の子守りを負担に感じるなら、ムリに引き受けず断る。「親や親戚にイヤイヤ会いに行ったり世話をすると、気持ちが相手に伝わってギクシャクすることに。身内と距離をおきたいなら、とにかくNOと言う。次第に相手も接してこなくなります」(前出・Tomyさん)

子ども、孫、親戚と距離をおく

「60代は孫の相手もできたけど、70代では気力、体力的に無理!」の声多数。先を見越した行動を。

6.《お金》子どもに財産を残さない

 親の遺産を巡るきょうだい間のトラブルは、よくあること。「現金は必要経費として100万円ほど残すだけで、あとは生きているうちに家族と旅行や食事会を楽しんで使い切って。相続するものがあるなら、専門家と相談して、しっかり遺言書を書いておくこと」(ファイナンシャルプランナー、井戸美枝さん)

子どもに財産を残さない

 残された子どもたちの遺恨のもとになるのは悲劇。まして少額での断絶も多く聞くので余計な火種は残さない!

7.《暮らし》固定電話を手放す

 振り込め詐欺に遭った65歳以上の女性のうち、約87%は最初に家に電話がかかってきたそう。スマホが使用されるいま、家の電話にかけてくるのは高齢の親戚かセールスぐらい。昔と違って、家に固定電話がなくても社会生活で困ることはないので、思い切って解約を。

固定電話を手放す

 若い人の世帯では当然のように“携帯のみ”も目立つ。「危ないから固定電話に出ない」という家庭も多いのでは。

8.《見栄》人と比べて生きない

 友人に負けたくないと、高価なものを買ったり、ムリして流行品を使ったり、見栄を張るのは疲れるもの。「他人とわが身を比べて劣等感を感じることは、60歳になったらそろそろ卒業してもよいのでは。自分は自分と割り切って、あまり他人の噂話をしないのがコツ」(福厳寺、大愚元勝和尚)

人と比べて生きない

 余計なそねみやひがみを生むSNSなど見るだけ時間の無駄。自分の時間は自分だけのもの、と切り替えて。

9.《家事》排水口のフタをなくす

 掃除が面倒な台所の流しや、浴室の排水口。少しでもストレスを減らしたいなら、フタを取ってしまうのがオススメ。「フタの汚れを洗う手間が省けるだけでなく、ゴミが見えるのでこまめに捨てるようになって、いつもキレイに!」(編集者、藤代眞実さん)

排水口のフタをなくす

 汚れを隠す機能は結果的に「クサイものにはフタ」でしかない。いつでも目に入るからこそ手が届く!

10.《準備》仏壇を処分する

 仏壇や位牌がなくても、偲ぶ心さえあれば、写真に花を添えるだけで十分。いまあるものを処分するなら、菩提寺や仏具店に相談して、魂抜きのお焚き上げをしてもらおう。「自分の死後のことも考えて、子どもや親戚に仏壇や位牌は不要と伝えておくことも忘れず」(黒田さん、67歳)

仏壇を処分する

 正直、このスペースはもったいない。ミシンや楽器など趣味のものを置いて今を生きよう!

まだまだある!“高齢”『週刊女性』読者の“やめてよかった”

 年とともに“やめてよかった”ことは変化する? センパイたちの決断はこうだ。

「数年前に娘の婚家から“今後、盆と暮れのご挨拶を辞退します”と提案されました。先方もこちらも体調を崩したし、お礼の電話なども面倒だったので、むしろありがたいお申し出でした」(76歳)

「愚痴を聞くこと! こちらも嫌な気分になるし、時間の無駄。何より愚痴る友達も好きじゃなくなっちゃいそうだったから」(79歳)

息子夫婦への干渉。孫が小さいときには教育やしつけが気になった。でも干渉してもお礼もないどころか嫌われるだけで何も変わらない。ストレスになるから、あまり関わらず、自分の人生を生きることにしました」(83歳)

「夫が亡くなり、ごはんを炊くことをやめた。まとめて炊いて冷凍するなども面倒になって、炊飯器を捨てた。いまは『●トウのごはん』を買い置きして、食事のたびにレンチンしている」(81歳)

「まだやめられていないけど、芸能人のブログなどを読んでしまうのを早くやめたいです。ネットニュースから入って、気づくと夕方になったりしていて驚く!」(78歳)

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(取材・文/宮下二葉)