鈴木砂羽さん

 10月12日(水)に新シーズンがスタートするドラマ『相棒』(テレビ朝日)。初代相棒だった亀山薫(寺脇康文)と右京(水谷豊)との“伝説のコンビ”復活が大きな話題となっているが、亀山の妻・美和子を演じる鈴木砂羽さん(50)にとっても、実に14年ぶりの『相棒』出演となる。

亀山の妻に起きた“異変”

 放送に先駆けて、鈴木さんは自身のインスタグラムで“夫=薫ちゃん”役の寺脇さんとのツーショット写真を公開。放送を心待ちにするファンから熱烈な歓迎を受けている。しかし、遡ること2か月前、ドラマへの出演を発表した際の投稿では、こんな気になる一文も……。

「近頃この不調気味の身体を整えなくては!と、撮影が始まるまでの期間、体調管理だけに全集中し、来たるべきクランクインに着々と備えてきました」

 いつでも明るい笑顔がトレードマークの鈴木さんに、一体、何があったのか? 

今年6月、手術でテニスボール大の子宮筋腫を摘出

「6月上旬に10日間ほど入院して、子宮筋腫の摘出と子宮の上部を切除する手術をしました。手術のあと、その取り出した筋腫を見せてもらったら、テニスボールくらいの大きさがあって、自分でもびっくり。こんなのが子宮のど真ん中にあったら、そりゃあ具合も悪くなるわ!って(笑)」(鈴木さん、以下同)

 子宮筋腫は、子宮の壁にできる良性の腫瘍のこと。30〜40代で多く発症し、月経時の経血の量が増えてめまいなど貧血の症状が出たり、月経痛、便秘、頻尿、腰痛などの原因となったりする病気だ。

'15年のドラマ『オトナ女子』(フジテレビ系)記者会見での鈴木砂羽さん(写真右)

 鈴木さんの場合は、特に症状があらわれやすい、子宮の内側に筋腫ができていた。それがわかったのは約10年前、40代に入ったころ。婦人科の定期検診でのことだったという。

「筋腫といっても、最初はとても小さかったし、普段の生活にも支障がなかったので、特に何もしなかったんです。ところが、検診にいくたびに、ちょっとずつ大きくなっていって、40代半ばには3.5センチくらいにまで育ってしまって。確かにその頃から、経血の量がすごく多くなってきて、ドロッとした塊が出たり……毎月、生理のたびにつらかったんです」

 当時は結婚をしていた鈴木さん。子宮筋腫があると妊娠がしにくくなることも主治医から指摘されていたが、ちょうど仕事も充実して忙しい時期だったし、夫婦ともども、それほど出産に強い執着もなかったため、筋腫の摘出手術までは考えなかった。

 結婚していた2011〜2015年の間、鈴木さんは、映画とドラマあわせて30本近くに出演。バラエティー番組のレギュラーもこなすなど、多忙を極めていた。

『相棒』のために手術を決意

「40代半ばからは、ピルを処方してもらってのんでいました。月経のコントロールのためと、子宮内膜症も併発していたので、その内膜を薄くする治療として。3〜4年はのんでいたんじゃないかな」

 しかし、40代後半になると、放置していた筋腫のほうが無視できないサイズにまで育ってしまう。2年前の検診では5センチ近くになっていて、おなかの右側あたりを触ると何か固い感触があり、内側にもごろっとしたものがあるのを感じられるほどの存在感だったという。

「これはさすがに……と、投薬治療を始めました。生理もますます重くなっていたし。貧血で顔は真っ白になっちゃうし、経血の量が多いからオムツみたいなナプキンをつけていないと外出もできないから、すごくストレスで。

 筋腫を小さくするというお薬を半年間のみ続けていました。でも、これが値段は高い割に効果がいまひとつ。1か月で1ミリ小さくなるかどうかという感じだったんですよね……

'07年の『相棒−劇場版−』での鈴木沙羽さん(写真右)

 かかった治療費は、月に1万円ほど。それでも、子宮筋腫や子宮内膜症の症状は、閉経するとおさまることが多いため、このまま薬で逃げきれたら、とも考えていたという。そんな中に舞い込んだのが、ドラマ『相棒』への復帰の知らせだったのだ。

「また右京さんや薫ちゃんに会えるんだと思うと、とても楽しみでワクワクしました。一方で、これはもう、薬じゃごまかしきれないだろうなと、手術を決心したんです」

 ドラマのクランクインは7月後半。事務所や主治医とも相談して、そのひと月半前の6月、開腹手術に踏み切ったのだ。

12年前、子宮頸がんの手術も受けていた

 実は、鈴木さんにとって子宮の手術は、初めての経験ではなかった。「38歳のとき、子宮頸がんの円錐切除の手術を受けているんです」と、初告白してくれた。

 そのときも、やはりドラマへの影響を最大限配慮し、プロデューサーと相談して日にちを決め、手術を受けたという。NHKの大河ドラマ『江〜女たちの戦国〜』に、寿芳院(秀吉の側室)で主役の江(上野樹里)のいとこという、重要な役割で出演していた時期である。

「別に隠していたわけじゃなく、ドラマの撮影の足を引っぱらないように、の一心でした。手術といっても、ごく初期のものだったので、身体の負担はほとんどありませんでしたよ。子宮の入り口部分をレーザーで円錐状に焼き切っただけ。入院も2日ほどだったと思います」

 子宮頸がんは、子宮の入り口(頸部)にできるがんで、子宮にできるがんの7割程度を占める。国内の患者数、死亡率も増加傾向にあり、女性にとっては非常に怖いがんのひとつだが、早期に治療すれば治癒率も高く、子宮への影響も少ないと言われている。鈴木さんの場合も、かなり初期のものだったようだ。

「でも、そのときの経験があるから、女性として子宮をケアすることの大切さは身に染みていました。あと、何よりよかったのは、それ以来、何かトラブルや心配ごとがあったら、なんでも主治医の先生に相談するようになっていたこと。術後の経過観察も兼ねて、婦人科の検診を半年に1回は受けるようにしていたんです

信頼できる主治医が「私の相棒」

 子宮筋腫が見つけられたのも、もちろん、そのおかげだと語る。今回の手術についても、何をどう取り除き、何を残すか、そしてそれが、今後、鈴木さんの身体にどんな影響を及ぼすか、丁寧に説明をしてくれた主治医に、鈴木さんは全幅の信頼を寄せている。

「私はなんとなく、筋腫だけを取って、子宮はまるまる残せないかと考えていたんです。でも、子宮を残しておくと、今度は子宮体がんのリスクが高まること、逆に全摘してしまうとホルモン治療の必要が出て、やっぱり身体への負担が出ることなどを先生から教わりました。

 それに、私の場合、まだ女性ホルモンが出ている状態だったそうで……。卵管から女性ホルモンが出ているうちは、女性としての魅力につながる肌や髪のツヤ、性欲なんかにも影響が出てくるから、残しておいたほうがいいそうなんですね。だったら、ということで、子宮の上部だけを切除することを選びました。女優という仕事を続けている以上は、ツヤっぽくいたいので!

 ちなみに、性交渉については術後3か月以降ならおおむね問題ないそうです。今は別にパートナーがいるわけではないんですけど、一応、聞いておこうと思って(笑)。例えば、そういう聞きづらいことでも、主治医の先生には、恥ずかしがらずに聞けば必ず教えてもらえるから、本当にありがたいです」

鈴木砂羽さん('18年)

 10年以上、特に心と身体の変化が大きい40〜50歳を伴走してくれた主治医は、まさに鈴木さんにとって欠かせない“相棒”なのだろう。

 手術から4か月、経過を聞くと「生まれ変わったみたいに元気です」とにっこり。

「実は去年あたりから、更年期の症状もいろいろと出ていて、かなりつらかったんですよ。でも、今は筋腫と一緒に、長年溜め込んできた悩みやイライラまで、一気に断捨離したような気分。すごく調子がいいです。あと、痩せました(笑)。毎日、とても前向きに仕事に臨めています」

 今年は、鈴木さんにとって女優生活30年という節目の年、そして9月20日には50歳になったばかり。これからも主治医たちとタッグを組んで、その美と健康を維持しながら、ますます俳優として輝いてほしい。

 鈴木さんは12日、『相棒 season21』放送初回から登場。長い間悩まされていた病を克服して生まれ変わった亀山美和子の活躍に期待したい。

※本記事の手術の方法はあくまで鈴木さんのケースです。手術についての個々の判断は主治医にご相談ください。

 

 

'14年、松嶋菜々子と愛車で外出していた反町隆史

 

鈴木砂羽

 

大人気『相棒』

 

初代相棒として、強い印象を残した寺脇康文