現在は芸能事務所・サンズエンタテインメントで会長を務める野田義治氏

 大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で新たな北条政子像をつくり出した小池栄子と、11月1日スタートのドラマ『完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの』(テレビ東京系)で出演のみならず企画・プロデュースも務めるMEGUMI。女優として確固たるポジションを築き上げた2人のデビューの仕掛け人が現在、芸能事務所サンズエンタテインメントで会長を務める野田義治氏だ。“巨乳グラビア”ブームの火付け役で小池やMEGUMIの他にも、雛形あきこや山田まりやらも発掘し、世に送り出してきた。

もともと小池をスカウトしたのは『週刊プレイボーイ』がきっかけ。その後も水着グラビアの仕事を入れていたんだけど、小池の通っていた高校からクレームが来た。だから水着をやるのは卒業するまで1年間我慢して。でもその間に小池がこの業界に飽きてきちゃって“社長、私、保育士になるわ”なんて言い出した。

“保育士になる”って言ったって、学校に行って勉強しなきゃいけないし、月謝だってかかる。だったらグラビアで稼いだほうがいいんじゃないかって提案したんだよね。それが小池が今でも“社長に騙されてた”って言ってる所以です

小池栄子

いちばん重要視しているのは胸ではなく…

 自らの“巨乳発掘”のイメージについては「結果的に俺に預けられた女の子が胸の大きい子ばかりだったんだ」と答える。二十代のころ、いしだあゆみや夏木マリら大御所のマネージャーを務めていたこともあり、自身で芸能事務所イエローキャブを始めたときは胸の大きさで勝負しようなんて思ってなかった。そんな野田氏の“巨乳発掘”イメージを決定づけたのが、故・堀江しのぶさんとの出会いだった。

会って胸がドキーンとした。よく言う初恋の味というか(笑)。ただそれまで俺は女優のマネージャーしかやってこなかったんですよ。だから彼女を女優としてテレビ局や制作会社に売り込みに行ったんだけど相手にされなくて」

 ちょうどそのころに出会ったカメラマンがきっかけとなって、雑誌でグラビア撮影をすることになり、それが評判を呼んだ。

撮影するまで彼女が胸がでかいなんてわからなかったんだから(笑)。でも堀江がグラビアで活躍したおかげで、TBS系のドラマ『毎度おさわがせします』に出演できて。僕としてもドラマをブッキングできたっていう成功体験になった。その後、かとうれいこや小池栄子、山田まりやらが事務所に所属するようになって。それで“巨乳発掘”のイメージがついたんだろうけど、俺自身がいちばん重要視しているのは胸ではなく、やっぱり顔なんですよ

整形はさせない。“ナチュラル イズ ベスト”という美学

 ひと言で顔といっても、野田会長ならではのポリシーがあった。

俺が気に入っていたのが“和顔”。日本風の顔なら、男にも女にも嫌われないだろうと思って。“和顔”の子はベッピンではないけど、だんだんと味が出てくる。初めはブスだなと思うこともあったけど、今まで育てた子たちはみんな愛嬌があった。ベッピンでなくても愛嬌があればそれだけで魅力的なんですよ。あと基本的に整形はさせない。“ナチュラル イズ ベスト”という美学が俺の中にはあるんです

 同様に写真の修正にも反対している。その分、撮影時に写りが良くなるよう、カメラマンと綿密に打ち合わせをするそうだ。

「完璧な身体をして、真っ白でシワのない女の子なんてこの世にいない。本人はコンプレックスに感じているような部分も、“そこがあなたの魅力だから”って説得します。あとよく俺が言ったのは、“股を開いてもニコーッとしとけよ”って。“逆に誘惑するような顔はするな。これだけは気をつけなさい”と。なぜなら、エロ全開だとアダルトには勝てないから。ただセクシーさだったら勝てる。そういう微妙な差にもこだわりましたね」

 野田会長といえば面接時に胸を触るという半ば都市伝説じみた逸話があるが……。

ポーズを決める野田義治氏

「バストサイズの数字に騙されたことがあって、とある子が水着になったら、胸が大きいのではなく、筋肉で胸囲自体が大きかった。だからそれを確かめるために、両脇に手を入れるんです。それだけでブラジャーで盛ってるのか、本当に良い胸をしているのかがわかる。ただ面接のときにこれ見よがしに胸の大きさをアピールする子は落としてましたね。“俺にアピールしたってお金なんか出ないよ、見せびらかすのはギャラになるときにやりなさい”って」

 この業界に携わること半世紀以上。野田氏は近年のグラビアタレントの意識や取り巻く環境について警鐘を鳴らす。

SNSができてからは自宅で際どい写真を撮ってアップすればお金になる時代になったけど、邪道だと思う。そんなことをさせずに正当なグラビアをやっていきたい。それと今の時代はプラスアルファの技術が必要になってくる。“今はいい。でも1年もたたないうちに胸の大きさが邪魔するぞ”って、タレントたちに言ってるんです。胸ばかり注目されて、せっかくやりたいことがあっても、それに隠れちゃう。だから水着をやり始めて1年間は自分を磨かせる。喜んでグラビアをやるアホもいるけどね。あえて“アホ”って呼ぶのは、先のことを考えてないからだね

今、売り出そうとしているタレントは

 現在のグラビア界はAKB48から始まり、坂道系らに続くアイドルたちがその座を席巻している。

秋元(康)さんにあれをやられたときはもうダメだと思った。AKBや〇〇坂ってブランド名がつけばそれが強みになるから。まだしばらくこの流れは続くだろうね。でも俺は素材の良い子が出てきたら絶対負けないって思ってる。例えば宮沢りえとか広末涼子のような。それに、みんなグラビアを卒業するのが早すぎなんですよ。まだ知名度が中途半端なうちにやめてしまう。人気さえ出たらグラビアを撮る時間がなくなってやめざるをえなくなるんだから」

 そんな野田氏が今売り出そうとしているタレントが矢崎希菜(21)だ。

「最初に会ったときの透明感のある表情に惚れた。あと、声は普通の女の子よりも低いんですよ。これが後々に武器になるだろうと。今後、女優として売り出したい」

野田氏イチオシの矢崎希菜。特技は5歳から続けている阿波踊りだそう

 76歳になった今でも、孫ほど年の離れたタレントを自ら精力的に売り込む。そのモチベーションについて尋ねてみると。

人と話していて楽しいからですかね。若い女の子と話すのと、昔からの知り合いと話すのとじゃリアクションも違うし。そういうのが楽しい

 90分間しゃべり続けてもまだ止まらない、根っからの人好き。“人”という商品を売るセールスマンとして成功したのも当然か。そして売れて終わりでなく、その後も愛情もって育てられた“野田チルドレン”たちは、今後も芸能界を彩り続けるだろう。

のだ・よしはる 1946年3月28日、富山県生まれ。18歳のときに上京。モダンジャズの喫茶店やディスコで働いていたのをきっかけに、芸能界での仕事をするようになる。渡辺プロダクションではいしだあゆみのマネージャーも経験。'80年に芸能事務所イエローキャブを設立し、“巨乳グラビアブーム”の仕掛け人として活躍。雛形あきこ、山田まりや、MEGUMIなどの人気タレントを育てた。'04年にイエローキャブから離れ、現在はサンズエンタテインメント会長。

野田氏イチオシの矢崎希菜。特技は5歳から続けている阿波踊りだそう

 

露出度の高い服も着こなす小池栄子('02年)

 

22歳、グラドル時代のMEGUMI(2003年)

 

小池栄子