
日本社会の現状に、「遅れてる! 海外ではありえない!」なんて目くじらを立てている人もいますが……。いえいえ、他の国の皆さんも有名人や王室のゴシップや下ネタは大好きで、若者はおバカなことをしでかすし、高齢者は変なこだわりで周囲を振り回すし、しょーもない男女のケンカも日常茶飯事なんですってば! そんな世界の下世話なニュースを、Xで圧倒的な人気を誇る「May_Roma」(めいろま)こと谷本真由美さんに紹介していただきます。SNS上で話題となっている「ロマンティックおばさん」という文化も、遠く離れたイギリスに共通していてーー。
「上下同色」は珍しくない
SNS上で話題となっている「ロマンティックおばさん」という言葉があります。花柄やフリル、パステルカラーなど、華やかで可愛らしいファッションなどを好む中高年女性のことだそうですが、それでいうなら故・エリザベス女王ほど、 ロマンティックなおばさんはいなかったんじゃないのと、私なんかは思うわけです。
日本ではそういう中高年女性を「年がいもなく」とネガティブに受け取る人もいるそうです。世間体が第一である、いかにも日本人的な感覚だなぁなんて思うのですが、イギリスでは年齢を気にせず好きなファッションをすることを是とする文化があるため、「ロマンティックおばさん」は当たり前の存在なのです。

例えば、林家ペー・パー子さんやカズレーザーさんクラスが普通に歩いているのが、イギリスです。こちらでは上下を同色でコーディネートすることは珍しくありません。
思うに、こうした感覚は料理に通ずるところがあって、西欧の料理は基本的に足し算です。えぐみがあるから、スパイスやお酒を使ったり、強い味だから赤ワインとペアリングさせたり。一方、日本は素材からアクやえぐみを取るために、丁寧な下処理をする引き算の発想です。そのため、「盛る」「足す」というファッションは、日本人からすれば“ロマンティック”という名の自己主張と受け取られ、違和感を感じる人が多いのではないでしょうか。
ちなみに、ヘアメイクに関しても、日本では、まとめたりショートカットにするといった「抑える」や、黒く染めるか、白髪を生かすか……で老いを受け入れようとしていますが、イギリスは「盛る」「目立たせる」のが一般的。いくつになってもカラフルにするのは当たり前なんです。
それに、中高年向けの新聞紙や雑誌には、必ずファッション企画のセクションがあるのもいいところ。どういう服のコーディネートが若さを演出するかとか、50代、60代、70代と世代別の眉の描き方なども指南していて、ファッションを楽しむ気持ちを忘れさせない。“終活”特集が幅を利かせる日本とはまず違うところですね。

構成/我妻弘崇