中高年を対象としたマッチングアプリや婚活サイト、結婚相談所が増えています。ネガティブなエピソードが多く聞こえてきますが、最近、実際に交際を始めたという人も多いとか。そんな方々に、なれそめ、お相手とのエピソード、どんなことに気を使っているかを伺いました。いくつになっても恋ができる! あなたも、心の扉を開いてみませんか。
身元保証100%の安心感
美奈子さん62歳(経営者)&圭介さん62歳(経営者)
「彼の『おとこ気』に惚れました(笑)」
こう語るのは、教育関連の会社を経営する美奈子さんだ。起業して30年になるという。
「出会いというか“再会”は、50歳のときの小学校の同窓会。その際に大勢の友人と連絡先を交換したのですが、彼はその中の一人に過ぎませんでした。それからみんなが還暦となった年の12月に、彼を含めた同窓生たち数人で飲みに行くことに。そこで意気投合して以来、1日に何度も連絡を取り合うようになりました」(美奈子さん、以下同)
交際した男性はいたものの、結婚経験はなく、願望さえなかったという美奈子さん。
「彼には、親の介護のことなど、身辺のことを気負わず話せる心地よさがありました。同じ経営者として仕事の話もでき、幼少期を共通の場所で過ごしたことにも、安心感があったからだと思います」
中高年で相手を探すとなると、育った環境や価値観の不一致などがネックになるが、そこが最初からクリアになっていたため、展開は早かったと回顧する。
圭介さんは最初の妻との間に成人した子どもが2人いて、離婚後は1人暮らし。住宅関連の会社を経営しており、現在はスタッフが育ってきたこともありある程度、自由が利く立場だとか。
やがて、圭介さんは長期出張が多い美奈子さんの滞在先にもたびたび訪れるように。ほどなくして圭介さんが発した「一緒に拠点をつくらないか」との言葉は、美奈子さんに人生最大のインパクトを与えた。
「私は長きにわたり、従業員のために各地を駆け回っている身。簡単に一つの場所にはとどまれないことは彼も知っているはずなのに、それを言える強さに『この人は本気なんだ』と私も覚悟を決めました」
一方で、圭介さんのような財力も社会的地位もある男性が、若くて彼のサポートに徹してくれるようなタイプの女性ではなく「同じ年齢で仕事を持っている私になぜ?」と疑心暗鬼にもなったという美奈子さん。
「それをぶつけると、『この年齢だからこそ、本気じゃなきゃ失礼だ。俺は関係を進めたい。男は女を守るべきだ』と。そんな彼の『ザ・昭和の男イズム』に、完全に心を奪われましたね」
深夜の電話で何げないことから言い争いになり、頭にきた美奈子さんはプツンと切ってしまったことがあった。
「こんな気持ちのままでいたくないと、眠ろうにも眠れず、深夜発のフライトに飛び乗る前に『明日の朝、羽田に着く』とだけ連絡を入れたんです」
はたして早朝6時の空港には、圭介さんの姿があったという。かつてのトレンディードラマのワンシーンのようではないか。
「私たちはもう、いつまでも健康でいられる保証はない年齢。もったいつけ合ったり、手順を踏むのは、20代30代で終わり。今後は仕事とプライベートを整理しながら、新たな2人のステージに進むつもりです」
立場を理解し合い、本音で語り合える関係だからこそ、お互いを思い合う大人の関係が続くのだろう。
「いちファン」から人生の伴走者へ!
エリカさん60歳(契約社員)&浩人さん69歳(俳優)
「事実は小説よりも奇なり」というが、誰もが少女のころに夢に見た恋物語を紡ぐカップルがいる。中学生時代のエリカさんは、男性アイドルの浩人さんに夢中だった。
「数年前、大好きだった彼が、定期的に小規模なライブをしていることを知りました。懐かしくて1人で行ってみることに。彼はいわば初恋の人。40年ぶりに見たステージ上の彼は、色あせるどころか年齢と経験が増した分、より輝いて見えました」(エリカさん、以下同)
小さな会場は出演者とファンとの距離も近く、通っているうちに浩人さんとも直接会話をするようになったという。
「何かのきっかけでLINE交換をし、あるとき、お茶でもしようか、となりました。彼は60代半ばを過ぎていますが、明らかに同年代の男性とは違う。体形もスリムだし、ヘアスタイルもカッコいい!! 会うたびにときめいていました」
それから2人は定期的にお茶や食事を重ねることに。
「食事の後、そのお店がちょうど私の家の近くだったので『ウチに来ます?』と誘ったら、戸惑いの表情を見せたんです。この年齢ですから何かを期待してとか、まったくなかったこともあり、『茶飲み友達ができてうれしいわ』と言ったら、『俺は茶飲み友達じゃ嫌だ』と……」
口数が少ない浩人さんのこのひと言を、エリカさんは、告白と捉えたという。浩人さんは妻を亡くした後、子どもの家族と暮らしている。かといって、エリカさんは彼と一緒になるつもりはない。
「この恋はこれまでとは違う特別感があるんです。なんてったって初恋のアイドルですから(笑)。初恋は裏切りません。彼の細い指を見て、少女時代の私も、この指が好きだったんだ、ってキュンとなることもあります。そんな一瞬があることで、人生に彩りが加わったような気がしています」
浩人さんは家族と暮らしている経験が長いため、長年独身だったエリカさんより家のことにも目配りが利くのだとか。
「私が置きっぱなしにしたものに対して『しまいなさいよ』なんて言ってくれる口調は、アイドルというよりも『いいお父さん』なんですね。そんなところに、彼のこれまでの人生を垣間見たりします。
私も自分のプライベートや充実した仕事、異性の友人など、失いたくないものがあります。そこに初恋の人が現れた。お互い好きな気持ちがあって、優しさだけを持ち寄って、時を過ごしたいだけ。そこにはもちろん、『優しい嘘』だって含まれます。何かを求めるとか、奪いたいなど思ってもいません」
王道「友達の紹介」で見つけた真の幸せ
ジュンさん59歳(パート)&康二さん64歳(技術職)
「友達の紹介」で現在のパートナーである康二さんと出会い、幸せを手に入れたジュンさんは「ウチの人は、大阪通天閣の『ビリケンさん』そっくり。そしてとっても優しいんです!」と微笑む。
「6年ほど前、友人に『紹介したい男性がいる』と言われ、行きつけの居酒屋さんで会いました。『ニコニコしている人だな』という印象で、特にグッときたわけでもなく、その日は体調が悪かったこともあり早めに切り上げたんですね」(ジュンさん、以下同)
数週間後、ジュンさんがその居酒屋に1人で訪れたところ、1人で飲んでいる康二さんの姿が。2人はその偶然に驚いた。
「一緒に飲んだらとても楽しくて。以来、2人で飲みに行くように。偶然出くわしたタイ人の知人に紹介したら『この人、あなたに絶対合う!』と言われたのを覚えています。2か月が過ぎ、打ち解け合ってきたころ、彼が『君のことは僕が守る!』と。私、これまで男性にこんな言葉をかけられたことがなかったんです……。ウブで不器用な人と思っていたので、意外でした。『はい、ありがとう』と、私も素直に言えました」
ジュンさんは20代で2度の結婚、離婚。元夫たちからのDVやモラハラ、金銭トラブルに見舞われた。その後、2人の男性と同棲するも結婚には至らなかった。子宮全摘という経験もした。40代では、当時の職場の男性に押し切られて不倫関係になったことも。
康二さんは、彼女がこれまで付き合ってきた男性たちとは正反対のタイプだ。
「病気の影響で、私はまだ体調が優れないことも多いのですが、そんな私の面倒を見ることが生きがいみたいな人(笑)。友人からは『彼、こんな優良物件なのに、なぜ今まで独身だったの?』と聞かれます。彼にもそれなりに恋愛経験はあったようですが、人がよすぎるせいか、お金を持ち逃げされたりとか、結婚まで至らなかったみたい」
2人ともお酒が好きで、ジュンさんが用意した酒の肴で晩酌をするのが、何よりの楽しみだという。
「お互いに結婚にこだわりはなく、一緒に暮らして6年がたちました。4年前に犬を飼い始めたことで、より円満になりました。マッチングアプリだったら、こんないい人に巡り合えなかったでしょう。地元の不動産屋さんに目玉物件があった、という感じかもしれません(笑)。これからも、2人と1匹で、穏やかな暮らしを続けたいですね」
中学の同窓会で再会した彼女と真剣交際へ
義男さん70歳(会社員)&まち子さん70歳(無職)
「働くことが男の本懐」と、仕事ひと筋でがむしゃらに働いてきた義男さん。離婚を経て2度目の結婚を考えているそうだ。
「僕は、典型的な昔の男でした。鹿児島から上京、大学に進学して、就職は大手メーカーに。会社の後輩だった元妻は、寿退社して専業主婦に。彼女の両親に、都内にある彼女の実家の敷地内に家も新築してもらい、子どもにも恵まれ、仕事に邁進する日々でした。ところが定年を迎え、どんな第二の人生を送ろうか……というころに突然、妻から離婚を切り出されました」(義男さん、以下同)
うろたえ、改善点を聞いた義男さんだが、元妻の気持ちは固かった。
「仕事人間の僕に愛想が尽きたと……。子どもたちも成長したし、これからの人生を自分らしく生きていきたいとのことでした。元妻の言い分にも納得できるものがあったので、離婚に同意しました」
面影を残しつつ強さを感じる女性に
間もなく、義男さんの元に、鹿児島の中学から同窓会の知らせが届いた。47年ぶりの旧友たちとの再会である。
「郷里にも久しく帰っていませんでしたが、思い切って参加することにしたんです。ただただ懐かしく、一気に青春時代に戻りました。外見はみんな変わっていましたが、声のトーンや目の輝き、ふとしたしぐさなんか、まったく同じなんですよ。
封印していた鹿児島弁を見事に操る自分にも、妙な自信を持ちましたね(笑)。そこで再会したのが、まち子です。あのころの面影のままなのに、頼りがいというか、どこか強さを感じる女性になっていました」
まち子さんは当時のクラスメイトで、昔話で盛り上がった。聞けば、まち子さんは十数年前に当時まだ会社員だった夫を突然死で亡くして以来、地元で1人暮らしだという。
遠距離恋愛が、静かに始まった。離れているからこそ、まめに連絡を取り合っている。最初の結婚生活での反省点を次に生かす点は、猛烈社員として、昔取った杵柄だろうか。
「コツコツと交際を続け、7年が過ぎました。まち子は陽気で気取らない女性。生まれも育ちも同じ場所なので気心が知れています。僕は離婚後、子どもや孫たちとあまり会えていないんです。
だから、僕が鹿児島に行くと、まち子の息子や孫と会えるのも楽しくてね。まち子が上京した際には、あちこち案内しています。東京タワーなんかに喜んでくれるのが可愛いんです(笑)。今度の連休には、彼女の息子夫婦や孫たちと、ディズニーランドのホテルに泊まりますよ」
いつか一緒になりたいと語るが、時機を待つと胸を張る。最後に、すべての人が同窓会でうれしい思いをするわけでもないと、耳打ちしてくれた。
「一緒に行った悪友は、当時は橋本環奈ちゃんのようだったマドンナが、ダンプ松本さんに変貌していたものだから、『俺は行かなきゃよかった』と言ってましたよ(笑)」
※プライバシー保護のため、一部内容を変更しています
取材・文/合田みれい
