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「夏は汗をかく量が増え、ほかの時季に比べてにおいが気になりやすくなります。中高年以降の方は特に夏場のにおいを気にされる傾向があるように感じています」

 そう話すのは、自由が丘ファミリー皮ふ科総院長の玉城有紀先生。

更年期はにおいが気になりやすい年代

「更年期や閉経前後の時期は、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの分泌が急激に低下します。その結果、自律神経が乱れやすくなり、ホットフラッシュなどが起きて汗の量が多くなります。

 皮膚にはもともと常在菌が存在しており、汗が皮膚の表面で皮脂などと混じり合い、それを常在菌が分解することでにおい物質が発生します。汗が増えることで、不快なにおいが強く感じられる場合もあります」(玉城先生、以下同)

 更年期の年代は、女性ホルモンの変化によって、においの質が変化する。

女性ホルモンの減少によって自律神経が乱れやすくなったことで、汗や皮脂の分泌バランスにも変化が表れます。その影響で常在菌のバランスが乱れ、におい物質が発生しやすくなって以前とは違うにおいを感じることがあります」

 また、更年期に女性ホルモンが減少すると、相対的に男性ホルモンの影響が強まる。

「男性ホルモンが優位になると皮脂の分泌が活発になる傾向があります。増えた皮脂が酸化したり、常在菌に分解されたりすることで、以前とは違う体臭につながる場合があります」

 夏に、においがより気になってしまうのはなぜなのだろうか。

「夏は高温多湿ですから、衣類や下着の中が汗で蒸れやすくなります。汗が衣類や下着についたままだと、時間の経過とともに不快なにおいが強くなります」

 つまり、汗への対策をすることがにおい対策にも直結するということ。

「例えば、汗を吸いやすく通気性が高い綿素材の衣類を着ると、蒸れを防ぎ、においの発生を抑えやすくなります。最近は速乾性のインナーや衣類が豊富ですし、着るものの素材を変えるのも一案です。

 また、衣類に汗取りパッドをつけたり、こまめに汗拭きシートを使うのもおすすめです。替えのインナーや靴下を持ち歩いておけば、汗をたくさんかいたときに着替えられて快適ですし、においの心配も軽減されます」

避けるべきはアルコールや揚げ物

 閉経後の女性は、身体はもちろん、意外な部分がにおいやすくなるそうだ。

「膣の潤いがなくなってくるので、デリケートゾーンがにおいやすくなります。においを気にして洗いすぎる方もいらっしゃるのですが、過度の洗いすぎは肌に負担がかかります。入浴時に低刺激の外陰部用ソープなどを使って洗うだけで十分なにおい対策になります」

 陰部のにおいに関しては、VIO脱毛も有効だそう。

「陰毛を整えると汗や排泄物などが付着しにくくなり、清潔を保ちやすくなります。また、介護の視点から見ると、VIO脱毛をしていたほうが介護をしやすいことは確かです」

 おりものシートや尿取りパッドを使っている人は、次のことに気をつけたい。

「つけっぱなしでいると、におってしまうことがあります。汚れていないように見えても、こまめに取り替えるようにしましょう」

更年期は加齢臭の原因物質が増加する! ※ロート製薬リリース『女性の「若い頃のニオイ」を解明!「若い頃の甘いニオイ」の正体は「ラクトンC10/ラクトンC11」』をもとに作成

 更年期の症状を緩和する治療のひとつにホルモン療法があるが、この治療によってにおいが緩和される人もいるという。

「すべての人に効果が表れるわけではないのですが、ホルモン療法を受けることで体内のエストロゲンの量が増え、自律神経が整いやすくなるんです。その結果、汗の量が減るので、におい対策にもつながります」

 身体のにおいには、日頃の食生活も関わってくる。

「自律神経が乱れやすい更年期は、アルコールによって発汗が増えることがあります。さらに、アルコールの分解過程で生じるアセトアルデヒドがにおいに影響し、体臭が強く感じられる場合があります。また、脂肪分は過酸化脂質の増加につながり、加齢臭の原因になるため、動物性脂質が多い食品をとりすぎないことが大切です」

においの変化は「当たり前の現象」

 においを軽減したいのなら、普段の食事に次のような食材を取り入れるのがおすすめだ。

活性酸素を抑える抗酸化作用のある食材には、過酸化脂質の生成を防ぎ、脂質の酸化によるにおいの発生を抑える効果が期待できます。ビタミンAを多く含むにんじんやしそ、ビタミンCが豊富なブロッコリーやセロリ、ビタミンEを多く含むごま、かぼちゃなど、抗酸化作用のある食材にはいろいろなものがあります。また、体内でエストロゲンに似た働きをするイソフラボンは積極的にとりたい栄養素で、大豆製品に多く含まれています」

 年を重ねていく中で、においの変化は当たり前の現象と玉城先生は強調する。

「更年期のにおいは、身体の変化に加えて汗や衣類、気候など、さまざまな条件が重なって生じるもので、決して不潔なわけではないんです。あまり気にしすぎずに、つらい場合は婦人科や皮膚科の受診も視野に入れ、ご自分でできる対策をすることが大切です」

真夏のにおい対策マストアクション

下着や靴下を持ち歩く

 汗を吸った下着や靴下を長時間身に着けていると、蒸れによって雑菌が繁殖しやすくなり、においが強くなる原因に。替えを持ち歩き、汗をかいたらこまめに交換することで、清潔な状態を保ちやすくなる。

洗いすぎない

 においが気になるからといって、過度に洗いすぎると必要な皮脂や常在菌まで洗い流してしまうことに。その結果、肌のバリア機能が低下し、乾燥や皮脂の過剰分泌を招いてにおいが強くなることも。

ムダ毛を処理する

 ムダ毛が多い部分は汗や皮脂がたまりやすく、蒸れによって雑菌が繁殖しやすい。脇やデリケートゾーンの毛量を適度に整えることで通気性がよくなり、におい対策につながる。

自由が丘ファミリー皮ふ科総院長・玉城有紀先生 2005年帝京大学医学部卒業。日本医科大学武蔵小杉病院卒後、東京女子医科大学皮膚科学教室などを経て皮膚科専門医を取得し2014年溝の口駅前皮膚科を開院。2019年自由が丘ファミリー皮ふ科、2020年二子玉川ファミリー皮ふ科を開院。メディア出演などで皮膚疾患の治療や予防に関する正しい情報を積極的に発信している。
教えてくれたのは…自由が丘ファミリー皮ふ科総院長・玉城有紀先生 2005年帝京大学医学部卒業。日本医科大学武蔵小杉病院卒後、東京女子医科大学皮膚科学教室などを経て皮膚科専門医を取得し2014年溝の口駅前皮膚科を開院。2019年自由が丘ファミリー皮ふ科、2020年二子玉川ファミリー皮ふ科を開院。メディア出演などで皮膚疾患の治療や予防に関する正しい情報を積極的に発信している。

取材・文/熊谷あづさ