夕食はカフェのオーナー、スタッフと共に

旅行を楽しみながら、ちょっと働いて収入も得られる。そんな一石二鳥の新しい旅スタイルが“おてつたび”。イベントスタッフやホテル業、農業、漁業など仕事は多彩で、週末だけの参加もOK。観光だけでは出会えない人や景色に触れられるのが魅力です。

 お手伝い(短期アルバイト)をしながら旅ができるサービスとして注目が高まっている「おてつたび」。2019年の開始以降、サービス登録者数はこの5年で20倍程度に成長している。

 そのメリットは、旅行者にとっては旅先で働いて報酬がもらえ、仕事期間中の宿泊場所を無償提供されること。物価高騰が続くなか、旅費を大きく抑えられる。一方、農家やホテルなど人材不足に悩む地方の事業者は全国から働き手を確保できる。

「おてつたびの平均滞在期間は約2週間。地域の人と一緒に働くので、単なる観光を超えて、訪れた地域を深く味わいたいという、昨今の旅行者のニーズも叶えられます。訪問先との関係を築く体験によって、旅行者がその地域のファンとなり、地方の活性化にもつながると期待されます」(「おてつたび」広報担当)

 ここ数年は、50代〜60代以上の利用者が約4倍に増え、参加者の約3割に。子育てが一段落した主婦や早期退職者など、第二の人生のスタートとしても選ばれている。

最初から大きな挑戦は禁物!

 全国各地、多様な業種のおてつたび先があるが、選ぶときのポイントは?

 まずは受け入れ先までの“足”の確認。送迎の有無、公共交通機関の有無や運行頻度などを調べて、実際に行けるかの判断を。基本的に現地までの交通費は自腹であることもお忘れなく。

 次に仕事内容。力仕事系か接客など対人系か。休みや休憩の有無など参加者のレビューも参考に。また、1日の労働時間も要チェック。未経験の仕事なら滞在日数も少なめで、午前中のみや数時間程度のお手伝いから始めるのが無難。

 最後に、多くの参加者が重要視しているのが宿泊場所(部屋)。男女共用のシェアハウスからホテルや旅館の一室、オーナー宅でのホームステイまでさまざまなので、自分が無理なく過ごせる環境を第一条件に。

“おてつたび”でカフェスタッフに

3食付き! 浅間山の麓で自然を堪能しながら おしゃれなカフェスタッフに

キッチンカーでの調理補助・接客 群馬県吾妻郡嬬恋村

報酬例;3泊4日(お手伝い時間は14時間)1万3790円

嬬恋村の別荘地内にあるカフェの一員に

 地元で愛されるカフェのスタッフとして、店舗のホールや仕込み、カフェが出店するフードトラックの調理補助や接客をお手伝い。地元の人とも多く触れ合えるカフェでの仕事は、20代~50代の女性に人気。勤務時間以外はカフェの周りを散策したり、ケーキ作り体験や木工体験に挑戦するなど、嬬恋村・北軽井沢エリアの風景や自然を楽しめる。食事は3食まかない付き。「地元の魅力を知って、いつか移住を検討するきっかけになれば」と話すオーナーと一緒に夕食作りをし、親戚の家に遊びに来たような団らんの時間を過ごせる。

DATA カフェ「Piggies」群馬県吾妻郡嬬恋村鎌原1533-16せせらぎの里別荘地内/3食付き/近くのバス停まで送迎あり/施設の空き部屋・一人部屋(トイレ、お風呂等水回りは男女共用、お風呂はオーナー宅を利用)

おてつたびに行ってきました!体験者の声

 60代で北海道のホテルや福岡の農家へ“おてつたびデビュー”した西さん。北海道では仕事の休みに、同じ“おてつたび仲間”と旅したことが最高の思い出だ。

「何をしゃべるでもなく日が沈むまで水仙畑の夕景を眺めました。そういう時間の過ごし方って、それまでの旅行にはなかったなと。それに、旅が終わっても福岡の農家さんとは交流が続いています。

 もちろん、報酬をいただくのだから仕事は大変なところもあります。でも、その地域にどっぷりつかって、その時期、その場所でしか味わえないことを得られるのが醍醐味。おてつたびで全国制覇したいです」

おてつたびってどんなものがあるの?

 おてつたびの受け入れ先は全国で2800事業者以上(2026年6月30日時点)。ホテルや旅館などの宿泊業と農業・漁業などの一次産業が約8割を占めるが、飲食店や酒造会社など多様な業種へ広がっている。

おてつたびの受け入れ先は全国で2800事業者以上(2026年6月30日時点)。

 参加者の91%が「その後のキャリア・人生に影響がある」と答えたアンケート結果もあり、おてつたびが移住や起業のきっかけにもなっている。


取材・文/河端直子