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 健康のために控えたほうがいい食べ物と、とりたい食べ物を選別して、実践している医師の伊勢呂哲也先生。食事をかえたら、身体が軽くなったという。健康診断の気になる数値を改善する食品を教えてもらった。

身体は食べたものでつくられている

「特定の病気ではなくても、身体に不調を感じる状態を“未病”といいますが、近年、この状態の人が多く見られます。原因は一つに特定できませんが、大きな要因として食べ物が関わっていることは間違いありません」

 と話すのは、泌尿器科専門医・消化器内科医である伊勢呂哲也先生。肝機能や腎機能、血糖値などの数値がよくない場合でも、食事をかえれば改善できるという。実際、伊勢呂先生と医師仲間は、「避ける食べ物」「積極的にとる食べ物」を選んで実践し、効果を上げているようだ。

「食文化の西洋化に伴い、高カロリー、高脂肪の食事になりがちな人が増えています。その影響もあって、男女ともに増えているのが脂肪肝です。肝臓には、食事でとった余分な糖質や脂質を材料にして中性脂肪を合成する働きがありますが、合成が多すぎると、その脂肪が肝臓にたまってしまいます」(伊勢呂先生、以下同)

 脂肪肝になると、ALT(GPT)やAST(GOT)、γ―GTPの数値が上昇。これらの数値が気になる人は、加工肉や揚げもの、バターなど脂分の多い食べ物は控えたほうがよさそうだ。反対に、食べたほうがよいものは?

「魚介類に多く含まれるタウリンや良質なタンパク質は肝機能の働きを助けます。脂肪分の多い食品は避け、これらの食材を積極的にとれば、肝機能の数値も改善されていくはずです」

腎機能と血糖値を悪化させる食材

 体内の老廃物を尿として排出する腎臓の働きも、食生活に左右される。

「腎臓は機能が低下すると回復がむずかしいので要注意です。健康診断でチェックしたいのは老廃物を除去するクレアチニンの値。この数値が上がってきたら、まずは塩分のとりすぎに注意しましょう」

 ほかにも避けたほうがいい食品は、カリウムとリンの含有量が多い食品だという。

「具体的にはジャガイモ、海藻類、魚卵、甲殻類などです。反対に、腎機能改善のために食べたいのが、食物繊維が豊富なブロッコリー、タマネギ、キノコ類などです」

 腎臓病の引き金にもなり、万病のモトといわれている糖尿病。そのサインであるHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の数値にも気をつけたい。ヘモグロビン(赤血球内のタンパク質)と血液中のブドウ糖が結合して生まれる酸化ヘモグロビンの割合を示す数値で、高ければ糖尿病が疑われる。

「血糖値コントロールに必要なのは、ご飯やパンなど主食を見直すことです。精製した白米、白い小麦粉は、どちらもエネルギー源になる大切な栄養素ですが、食後血糖値を上げるもと。精製前の玄米や全粒粉のパンなどに主食をかえれば、血糖値の急上昇は防げます」

 肥満にも関係して、多くの人が気になるコレステロール値。これを下げるには、どうすればいい?

「コレステロール値が高いと動脈硬化、脂肪肝、糖尿病などのリスクにつながりますが、コレステロール自体は悪いものではありません。悪玉(LDL)と善玉(HDL)を区別して考え、悪玉を少なくして善玉を増やすようにします」

 悪玉コレステロールを増やす食品の代表は、レバーや卵、バター、生クリーム、マーガリン。これらを控えることで、数値をコントロールしていく。

「コレステロールはホルモンの材料にもなります。HDLコレステロールを上げるためにも、不飽和脂肪酸が多く含まれている青魚やナッツ類を積極的にとるようにしましょう」

「国民病」ともいうべき、高血圧に関する食事のアドバイスもうかがった。

「腎臓ケアと同様、もっとも控えたいのは塩分。レバーや卵、加工肉、食品添加物を多く含むインスタント食品も避けたい。ミネラルやカルシウム含量が多い海藻類やコマツナ、小魚、キノコ類などを含む食事に切り替えたいですね」

 最後に、夏バテを解消する食品を聞いてみた。

「インスタント食品や甘い飲みものは控えましょう。アルコール類も睡眠の質を下げたり、疲労回復を遅らせるので、極力控えることをおすすめします。そして人生後半の健康のためにも、筋肉を増やすことが大事。

 大豆や卵、脂肪分と内臓を抜いた肉や魚など、良質なタンパク質を摂取してください。すぐに効果を感じなくても、食事を改善すれば身体は確実に変わっていきます。食事の基本は楽しむこと。無理せず、楽しみながら健康につながる食習慣を身につけましょう」

「控えたい」「食べたい」食品リスト

●肝機能が気になる人は

控えたい食品

生肉・果物・加工肉・揚げもの・チーズ・バター・クリームなど

雑菌やウイルスが心配な生肉は、肝炎を起こす危険性があるのでNG。食品添加物と脂分の多い加工肉、揚げものや乳製品は、脂肪肝を避けるためにも控えたい。ビタミンやミネラルが豊富な果物は、メリットも多い一方、糖分が多いので注意が必要だ。

食べたい食品

貝類・鶏むね肉・マグロ・カツオ・卵・大豆製品など

アミノ酸の一種、タウリンを含む貝類は肝臓の疲れを癒してくれる。良質のタンパク質を含む鶏むね肉、マグロ、カツオは肝機能の働きを助ける。タンパク質のほかミネラルも豊富な卵や豆腐、納豆、食物繊維が多いキノコ類、海藻類もおすすめだ。

●腎機能が気になる人は

控えたい食品

ジャガイモ・トマトジュース・海藻類・魚卵・甲殻類など

老廃物を尿として体外へ出し、血液や血圧を一定に保つ役目を担う腎臓。まず控えたいのは塩分多めの食事。注意したい食材は、カリウムを多く含むジャガイモやトマトジュース、海藻類。リンが多いイクラなど魚卵と、エビやカニなどの甲殻類も控えめに。

食べたい食品

ブロッコリー・タマネギ・ニンニク・キノコ類・納豆など

抗酸化成分や食物繊維が豊富な食品が腎機能をサポート。ブロッコリー、タマネギ、ニンニク、ベリー類は積極的にとりたい。キノコ類、納豆も食物繊維が多く、納豆は特に植物性タンパク質も豊富。ビタミンCが多くカリウムが少ないリンゴもGOOD。

●血糖値が気になる人は

控えたい食品

白米・パン・ラーメン・加工肉・清涼飲料水など

減らしたいのはGI値の高い食べ物。GI値とは食後血糖値の上昇を示す数値で、白米、食パンなど白いパンが高GI食品の代表。塩分、脂分の多いラーメンや、ハムなど加工肉、カロリー高めの清涼飲料水やアルコール、スナック菓子も控えたい。

食べたい食品

玄米・全粒粉パン・マイタケ・納豆・豆乳など

白米やパンの主食を時折でもいいので、玄米、全粒粉パンなどにかえるとよい。GI値のほか、豊富な食物繊維と良質なタンパク質、良質な油、抗酸化物質が血糖値改善のポイント。ナッツ類、レモン、ゴーヤ、ブルーベリー、コーヒーなどもおすすめ食品。

●血圧が気になる人は

控えたい食品

レバー・卵・加工肉・カップ麺・冷凍加工食品など

塩分の多いものを控えることが大事。加工肉、カップ麺、冷凍加工食品は塩分のほか、脂分や食品添加物も含まれている。レバー、卵など、コレステロールの多い食品は血管壁を薄くして血圧アップの要因になることも。お酒の飲みすぎも血圧に悪影響。

食べたい食品

海藻類・コマツナ・ホウレンソウ・小魚・キノコ類など

豊富なミネラルを含む海藻類、カルシウムたっぷりのコマツナ、ホウレンソウ、小魚は血圧を整えてくれる働きがある。豆腐や納豆の大豆製品もミネラルが豊富。そのほか、食物繊維の多いキノコ類、豆乳やトマトジュースもおすすめ。

取材・文/浅野恵子

伊勢呂哲也先生
日本泌尿器科学会認定専門医。大宮エヴァグリーンクリニック、東京泌尿器科クリニック上野、池袋消化器内科・泌尿器科クリニック、新橋消化器内科・泌尿器科クリニックの理事長を務める。年間3万人の患者を診察するかたわら、YouTubeチャンネル『伊勢呂哲也/医師「泌尿器科・消化器内科」』で情報発信中。https://www.youtube.com/@iserotetsuya