「いい人」から抜け出す7つのステップ

ステップ1:週1日「悪妻の日」にする

 いい人は、「~しなければならない」というマイルールに縛られています。このルールから週に1日だけ解放される日を作りましょう。心の中で「悪妻の日」と決めて行動するのもいいですし、夫や子どもにも協力してもらいゲーム感覚で楽しむのもいいでしょう。「今日は悪妻の日だからやらないよ」と、自分から意識して「やるべきこと」を手放します。洗濯を子どもに、掃除を夫にまかせるのもいいでしょう。家事をしないで、友人と遊びにいくのも悪くありません。悪妻の日ですから。

 最初は不安に思いますが、家族は何も感じていないことが多いものです。

【ひとことアドバイス】
 他人に嫌われないために、自分を嫌うのは本末転倒。世界のすべての人を敵に回しても、自分だけは自分の味方です。

ステップ2:「家事簿」をつける

 いい人はマメに「家計簿」をつけている人が多いと思います。「家計簿」に加えて、または少しお休みして「家事簿」をつけてみましょう。「家事簿」とは、今日は何の家事を何時間行った、と家事の内容と時間をつけていくのです。毎日でなくてもOK、育児の内容も書いておきましょう。

 次に自分が行った家事の量をみて、それを8割に落とす工夫をしてみましょう。例えば朝ごはんは作らずコーンフレークにする、カレーは2日間食べる、掃除は3日おきにするなど意識して少なくしてみましょう。「ほどほど」の感覚がつかめてきたら成功です。

ステップ3:「今じゃなきゃダメ?」を口癖に

 夕食を作って、さあ食べようとしたとき、夫に「ソース取ってきて」と言われ、ウンザリしたことはありませんか? いい人は、文句を言いたいのをがまんして、ソースを取りに行ってしまいます。いい人は「がまんする」ことが日常になっているのです。

 そこで、少しずつ自分で決めて、言葉にする訓練をしていきましょう。最初から断ったり、意見を言うのは難しいので、「今じゃなきゃダメ?」「私でなきゃダメ?」と、やんわり断ることから始めましょう。

 保護者会や地域活動の役員も、「ほかにもできる方いらっしゃいますよね?」と、少しだけ強気を見せましょう。

【ひとことアドバイス】
 自分が人生の主役。自分で決めて意見を言いましょう。意見を言うことで逆に関係がよくなることもあります。

ステップ4:家に帰ったら大の字になる

 がんばり屋さんのいい人は、リラックスが苦手で、いつも何かをしています。パートや地域活動から帰っても、すぐに台所に立って夕飯の支度を始めてしまいます。リラックスをする時間を意識して作らないと、肩こりや頭痛、不眠など身体の不調が起こり、メンタル不調にもつながっていきます。

 そこでオススメなのは、大の字リラックス法。家に帰ったら、10分間だけ寝転んで大の字になります。手のひらは床に向け、軽く目を閉じてお腹をふくらませて深呼吸をします。いい人は自律神経を乱しやすいので、このリラックス法で整えてあげましょう。

ステップ5:自分をほめてから寝る

 人間には長所も短所もあります。いい人は、ありのままの自分を受け入れることができず、理想的な人間を追い求めてしまう傾向があります。そこで、夜寝る前に自分のダメなところも含めて「よくやった」と、自分自身に声をかけてあげましょう。

 完全な人間などどこにもいません。この世界は欠けているところを補い合って、人間同士が生きています。キレイな世界にしようとすればするほど、感情や欲望を抑圧して、無意識の世界はどんどん汚れ、メンタルを崩していくのです。

 寝る前のほんの数分間でOK。自分をほめて、まるごと受け入れてあげましょう。

ステップ6:仲のいい友達に「プチ愚痴」を言う

 人前で怒ったり、泣いたり、大笑いをしたり、感情を表に出すことが苦手ないい人。感情を抑えている反動で、ちょっとしたことでイライラし、ますます自分がイヤになってしまいます。

 怒りや悲しみをその場で表現するのは難しくても、ためずに仲のいい友人にグチりましょう。いつもは聞き役がメインのいい人ですが、怒ったときは、友達にグチを言ってもOK。女同士のグチは、相手は思っているほど真剣に聞いていません。

 悪口になってしまうのでは? と、心配な人は、誰もいない部屋で「◯◯のバカヤロー!」と、叫んでクッションを投げつけてみてください。

ステップ7:「イキイキ・メモ」を作る

 手抜きができて、リラックスができて、自分を受け入れることができたら、もう少しでいい人卒業です。ここからは、生きる目的に身をゆだねましょう。毎日の生活の中でイキイキと過ごした時間を思い出し、メモをとっていきます。すると、その中から自分のやりたいことが見つかり、それが他人に向けられていることに気づきます。

 今までは自分のために「いい人」になろうともがいていましたが、これからは、幸せを感じる「本物のいい人」になろうとしています。ゆっくりと心を成長させていけば、幸せを自然に感じとれるようになるでしょう。

<教えてくれた人>
緒方俊雄先(おがた・としお)先生◎臨床心理士。SOTカウンセリング研究所所長。慢性うつ病の専門家であり、「日本一ゆるい臨床心理士」としてメンタル疾患のケアに努める。著書に『慢性うつ病は必ず治る』(幻冬舎新書)ほか多数