遅刻グセのある人

 裕也さん(38歳、仮名)が入会し、お見合い写真を撮影することになりました。お見合い写真は、お見合いの呼び水になるので、200%の出来で撮ることが大切。とても上手に写真を撮ってくださる信頼のおける写真スタジオをご紹介しました。

 予約はある土曜日の11時。私が11時にスタジオで待っていると、「すいません。間違えた方向の電車に乗ってしまって、15分ほど遅れます」というLINEが入ってきました。

 そのことを、スタジオのスタッフさんに告げると、とても困った顔をされました。

「今日は撮影が詰まっているので、終わりの時間をのばすことはできません。本当に15分遅れで来るでしょうか?」

 結局20分近く遅れてきたので、予定していたロケ撮影ではなく、スタジオ撮影となりました。スタジオで撮るよりも、自然光のロケで撮ったほうがお写真が自然な感じになるし表情も柔らかく撮れるのですが、時間がないので致し方ありません。

 それでも、カメラマンはやはりプロフェッショナル。とても、素敵な写真ができあがり、裕也さんは登録をすませ、お見合いをスタートさせました。

 ところが、初めてのお見合いも待ち合わせの14時を5分遅れて来たのです。お見合いは、遅刻厳禁です。たとえ5分でも遅れるときは、仲人に連絡するというのがルールです。

 さらに先日は、お見合いに30分遅刻をしてきました。ウイークデー、仕事終わり18時30分からのお見合いだったのですが、「申し訳ありません。仕事が押していて、30分遅刻します」と連絡が来たのが、18時15分。

 約束の時間の15分前に、30分も遅刻するという連絡をしてくるのは、お相手に失礼です。

 思わぬ形で仕事がのびでしまう。大切な取引先との会合で、どうしても仕事を定時で切り上げられなかった。出ようと思っていたら大事な電話が、かかってきてしまった。遅刻する理由は、いろいろあるかもしれません。

 しかしながら、それらを想定したうえでお見合い時間を設定するべきですし、もしも当日遅れそうならば、最低でも2時間前、もしくは3時間前に、仲人に連絡をすべきです。そうすれば、お相手もでる時間を調整することができます。

 お相手の女性、良枝さん(33歳、仮名)は、約束時間の10分前、18時20分には、カフェにやって来ました。

「申し訳ありません。いま連絡が入ってきて、30分遅れるというので、到着が19時くらいになると思います。暑いですから、カフェに入っていましょう。私が来るまでお茶をご一緒させていただきます」

 そして40分間、私が良枝さんとお茶をすることになりました。とても、素敵な女性でした。19時に裕也さんが駆け込んでくると、良枝さんは、笑顔で言いました。

「お仕事、お忙しいんですね。大変ですね」

 私は、2人を残してカフェを出ましたが、もうこの日のお見合いは、結果が見えた気がしました。

 案の定、翌日に良枝さんからお断りがきました。