座長という意識を持ってやったことがない

 実際の坂本は「嘘をついたらバレるほう」で、なおかつ「人と接するとき疑いから入るのは 好きじゃないので、たぶんだまされるタイプ」という。

いまだにルールをちゃんとわかっていない“人狼ゲーム”を 一回やったことがあって。僕は村人だったのに、急に目線を送 られると“あれ、もしかして俺、人狼なのかな?”と変な思い込みをしちゃったり、すぐ顔に出ちゃうんですよ。なので、自分はたぶん嘘をつけない人間だし、 リバーシティの町民だったらハロルドにだまされていたと思います(笑)」  

 撮影中、「昭和のアイドルだ から」と笑いながら次々とポーズをキメてくれた坂本。昔から変わらない抜群のスタイルは、どうやってキープしているのだろう?

特に考えてないんですよ。スポーツが好きなので、体を動かしてはいますけど。ゴルフとか、ジムでのトレーニングとか......。基本的にはそれくらい。食事制限的なことは、いっさいやらないです。好きなものを好きなときに好きなだけ食べる。お酒もお肉も大好きです」  

 舞台初出演は'92年のミュージカル『阿国』。それから 31年たったが、「言われてみて“ああ、そんなに時がたったか”と 感じるくらい」という。

新しい作品と常に出会っているので、いつも新鮮なんです。 “ベテランですね”と言われますけど、全然そんな気持ちもないんですよ」  

 また、座長として心がけていくことを聞くと、「座長という意識を持ってやったことがない」という答えが。

すべてのお仕事で自分のやるべきことを100%やる、という意識ではいますけど。僕は、 板(ステージ)の上に立つ人間 はみんな主役だと思っているんです。稽古中のテーマは、どれだけ恥をかけるか。座長だからということで注意や意見を言われなくなったら、そのほうが僕は恥ずかしいしつまらない。そんな人間にはなりたくないと思ってるんです。なので、みんながちゃんと意見を言える、会話ができる環境づくりをするというのが唯一、心がけていることかもしれないですね

「演者が楽しんでいないとお客さんにも楽しさが伝わらないと思う」と語る坂本。そう考えるようになったきっかけがあるという。

「前に何かの作品を観たとき、すごくいい作品だけど何か平面 的に見えるなと感じたことがあって。もったいないな、なんでだろう? と思ったんです。そのあと、今度自分がステージに立ったときに、“あ、もしかしたら俺が今、楽しんでいることをもっと伝えられたらいいんじゃないか?”と気づいて。本当に楽しんでいる人を見たら、 たとえ言葉はわからなくてもゲラゲラ笑っちゃうんですよね。 その楽しさは作り上げるものではなくて、自然とできていくもの。なので、その空気感が稽古場で生まれたら、作品としてよりいいものが出来上がるんじゃないかなと思ってます