警察による児童相談所への虐待通告児童数
警察による児童相談所への虐待通告児童数
【写真】児童相談所への虐待通告児童数の推移

 一方で、保育の場でも虐待の報告が相次いでいる。今年6月には、茨城県水戸市の保育園で、保育士2人が園児を寝かせたまま無理に食事を食べさせたり、腕を引っ張って倒す行為が発覚。

保育園はいま深刻な保育士不足

 5月には三重県桑名市でも、保育士が暴言を吐いて子どもを泣かせたり、給食を食べ終わるまで4時間にわたり指導し失禁させるなど、6つのこども園で不適切な保育があったことを市が発表した。

 こども家庭庁の調査では、昨年4月から12月までに全国の市町村が把握した、保育所で行われた子どもへの不適切な保育は914件で、そのうち虐待に当たるのは90件。無認可などを含めた保育施設全体では、不適切な保育は1316件で、虐待と認められたのは122件となった。

保育園はいま深刻な保育士不足。いろんな性格の子がいますし、障害がある子などはしっかりついてあげなければいけないんです。人数が少ないから、誰か休んだら勤務時間が長くなる場合もあったりと、生活リズムも崩れるし身体もキツくなる。

 もちろん、それは言い訳にならないですし、全員が子どもに対して不適切にかかわっているわけではないですが、保育の場の環境改善は必要だと思います」

 保育園全体のチームワークや、保育士自身の変化も重要ではと佐藤さん。

「私が保育園で働いているとき、人権擁護のためのセルフチェックリストをつけていたんです。“子どもを尊重する保育”をするためにはどうすべきかが書かれているもので、昔は散歩などに行く前に集団でトイレに行かせていたんですが、いまはおしっこが出ないと言っている子に強要するのはやってはいけないことなんです。

 こうしたチェックリストを活用して、園児にこれはやってはいけないなど保育について振り返ることができれば、保育士自身も変わっていくと思います

 虐待の連鎖を止めることはまさに急務。その数を減らすためには、どういった行動をとるべきなのか?

「子育ての悩みをひとりで抱えずに、子どもにキツく当たる前に家族や友達など誰かに相談することだと思います。例えば、子どもが保育園に通っていたら先生でもいいと思います。

 “うちの子、最近ごはん食べないんです”とか些細な悩みでもいいので話してみることが大切です。身近な人には話しにくいという人は、自治体などに子育てに関する相談窓口が記載された冊子があるので、そういうもので調べて、悩みを打ち明けるのもいいと思います

 相次ぐ児童虐待に、国は対策を検討しているのか。 こども家庭庁に問い合わせると、

児童虐待防止対策の中枢を担う児童相談所の体制強化に引き続き取り組んでいるほか、児童虐待を未然に防ぐためにも、令和6年4月1日施行の改正児童福祉法においては、全ての妊産婦、子育て家庭、こどもへ一体的に相談支援を行う「こども家庭センター」の設置などによってこども子育て支援の種類・質・量の充実を図ることとしており、引き続き円滑な施行へ向けて準備に取り組んでいます》

 と、回答が。 子どもたちの未来のために、大人たちの意識の変革が求められている─。

佐藤典子 子育てアドバイザー。保育園園長など地方自治体の福祉職として長年勤務。現在は、児童発達支援事業所から訪問支援員として幼稚園、保育園と関わる。