塩分の過剰摂取は死亡事故も

 それでは子ども熱中症対策はどうすればいいのか?

「私も2歳の子どもの母親なので、不安になってしまう気持ちはわかりますが、まずは水やお茶といった水分をこまめに摂取させること。あとは日中の暑い時間帯を避けて遊ばせたり、帽子をかぶらせたり通気性のいい服を着させてあげることです

 熱中症対策として手軽に使える塩分タブレットだが、特に子どもにとっては“毒”になる可能性もあるという。

猛暑だからといって、小さい子どもに塩分をチャージしすぎないように! ※写真はイメージです
猛暑だからといって、小さい子どもに塩分をチャージしすぎないように! ※写真はイメージです
【写真】ひと目でわかる!熱中症の対策と正しい処置

「3歳や5歳の幼児が1日にとる塩分の摂取基準量は、3.5グラム未満。大人でも男性で7.5グラム未満、女性で6.5グラム未満です。ただでさえ日本人は普通の食事でとる塩分量が多いとされているうえに、タブレットで塩分を摂取すると塩分過多の状態になります。

 みなさんもご存じだと思いますが、塩分のとりすぎは高血圧の原因や、腎臓への負担が増します。タブレットは子どもにとってお菓子感覚で食べられるものなので、与えすぎには十分に注意してほしいですね」

 '17年には盛岡市の女児が食塩の入った飲み物を与えられ、塩化ナトリウム(食塩)中毒で死亡した事故があった。身体に不可欠な塩分だが、過剰摂取は命の危険をも招く。

「盛岡の事故は極端な例ですが、5歳未満の子どもたちには、塩分のとりすぎはリスクのほうが高いです。大事なことは食事を1日3食バランスよく食べること。必要な塩分はそれでとれます

 “薬も過ぎれば毒となる”。適量を考えながらタブレットも利用しつつ、残りの夏は熱中症対策を進めていきたい。