s-20160202_nakamura_2

 昨年の10~12月にかけて放送され、話題となった『下町ロケット』(TBS系)。

「池井戸(潤)さんの作品は昔から本当に大好きで、よく読んでいたんです。過去にWOWOWで放送されたドラマも見ていました。視聴者としても楽しみにしていたドラマだったので、まさかそこに自分が出演させていただくというのは想像していませんでしたね。お話をいただいたときは本当にうれしかったです」

 同作でドラマ初出演を果たしたのが、歌舞伎俳優の中村歌昇だ。

「先輩の(片岡)愛之助兄さんや、(市川)中車兄さんから“素晴らしいチームだから、思い切って頑張ってきてほしい”と、事前に声をかけていただきました。初めてのドラマ現場だったので、何がどうなっているのかが全然わからない。すごく新鮮でした」

 劇中では、物語の重要なシーンで登場する研修医を演じた。

「ご迷惑をかけた点もあったかと思いますが、世良公則さんをはじめとしたキャストの方々がすごく優しかったです。専門家の方に医療のことを教わりましたが、自分でも研修医をしている友人に“使える医療用語はないか?”と聞いたり、やれることはやったつもりです。医療の場面では間違ったことはできないと思っていたので、あらかじめ勉強して臨みました」

 '13年から、 オンワード樫山のメンズブランド『五大陸』のアンバサダーのひとりとしても活躍している。片岡愛之助や尾上松也らとともに、ポスターや広告などで見かけた方も多いかもしれない。

 5歳のときに四代目中村種太郎を名乗って初舞台を踏み、'11年に四代目中村歌昇を襲名した。なぜ、このタイミングで映像の世界へ足を踏み入れようと思ったのか。

「映像に出ることで自分の幅が広がると思ったからです。大おじに萬屋錦之介がいて、昔から映像は見ていましたし、お世話になっている(中村)吉右衛門のおじさんの出演作も見ていました。だからというわけではありませんが、頭の中で潜在的に映像への意識はあったのかもしれません」

 今回のドラマ出演で、これまで何気なく見ていたテレビの見方も変わったという。

「目線の動かし方とか、テレビという枠の中でどういうお芝居をするかというのを考えるようになりました。歌舞伎は基本、まばたきをしないようにするんですけど、ドラマはそうじゃない。そういった部分をより注意深く見るようになりましたね」

 昨今は、若者のテレビ離れが進んでいるといわれる。でも、彼はそんな話とは無縁。むしろ、かなりの“テレビっ子”のようだ。

「とにかくスポーツが好きで、気持ち悪いくらいテレビ観戦しています。少し前は、早朝にスペインサッカーを見てからメジャーリーグ。夜からは録画したNFLの試合を見て、NBAを見るみたいな。土日はそれに加えて昼間にゴルフを見ています。昨年のラグビーW杯ももちろん見ました」

 ニヤッと笑いながらそう話すが、テレビを見るばかりではなく、

実際にプレーをすることも多い。

「歌舞伎役者で結成した草野球チームがあるんですが、そこに入っています。公演の合間に試合をやったりするんですけど、みんなケガが怖いからとにかく慎重にプレーするっていうね。走れない人はすぐに代走を使ったり、守備のときに強い打球が来ても身体で止めにいかないんです。歌舞伎役者ってけっこうスポーツが好きな人が多くて、フットサルチームもありますしダーツチームもあるんですよ」

 ちょっと意外な気もするけれど、長期公演が続く歌舞伎界のことを考えると、体力作りも兼ねて運動は欠かせないのだろう。昨年は、彼の所属する草野球チームが超豪華な会場で試合をした。

「アダルトチームとヤングチームに分かれて、東京ドームを貸し切って試合をしたんです。アダルトは(市川)染五郎兄さんを筆頭とした方たち、ヤングは(尾上)松也さんや僕などの若手が中心でした。国歌斉唱を(松本)幸四郎のおじさんがしてくれて、いちばん盛り上がりましたね」