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 6月30日午前11時東京発の新大阪行き『のぞみ225号』車内でガソリンをかぶって焼身自殺を図った林崎春生容疑者。

 遺書も残されておらず、本人が死んでしまった今、なにゆえ新幹線を選んだのか、その理由を知ることはできないが、『成城墨岡クリニック』の院長で精神科医の墨岡孝医師はこう分析する。

「自殺する人の7割はうつ病だと言われております。うつ病の場合は発作的に自殺する場合が多いのですが、彼の場合は計画的だった部分もあると聞いたので、善悪の区別がつかない状態になるうつ病ではなかったと思います」

 林崎の場合、自殺する直前は抑うつ状態になっていたとしても、深刻なうつ状態ではなく、軽いうつ的要素で死にたいと思いつめたところに加わったもうひとつの要素のほうが大きいという。

「年金の不満とかいろいろ言われておりますが、社会に対する抗議という部分が大きいと思います。大勢の人を巻き込んだり、騒ぎを起こして自殺に持っていくパターンです」(墨岡医師)

 それは社会に対する報復でもあり“テロ的”とも言えるが、明確な意志を持って、なおかつ緻密な計画のもとに進められる本物のテロとは異なる。

「漠然とした欲求不満や自己主張と抗議がある一方で、ひとりでは死ねない、誰かを巻き込んでやろうと、死ぬことに対して割り切れない部分があるから、こういうことを起こすんですね」(墨岡医師)

 このような状態になるのを防ぐには、どうすればいいのだろうか?

「自分ひとりでため込まない、ということが大事です。相談できる人が身近にいれば違っていたと思います」(墨岡医師)

 墨岡医師のところには最近、林崎と同じ悩みで相談に来る高齢者が増えているという。

「経済的なことを含めて社会的な孤立というのが大きな問題です。実はいま、年金より生活保護のほうが楽だという逆転現象が起きています。年金は税金やら介護保険料やら引かれて少ない額になってしまいますが、生活保護は住宅手当が出るところもありますから。年金だけでは生活が苦しいひとり暮らしの老人が増えていますから、今後もこのような事件が起きる可能性は大いにあります」(墨岡医師)