政府の狙いは支給開始年齢の引き上げ

GPIFによる年金運用の推移(GPIFが発表した運用実績などをもとに編集部作成)

「いっそ運用をやめてしまうか、ハゲタカのような、金儲けのためには手段を選ばない投資ファンドにお金を預けるか。どちらかにすべきだと思います」

 そう指摘するのは経済アナリストの森永卓郎さんだ。

「株で運用すればアップダウンは当然あります。長い目で見ると、ある程度の利回りは取れるんですが、株価が下がったときには今回のように袋叩きに遭うという構造なんです。そこで一喜一憂しても仕方がない」

 安倍首相も「運用は長期的な視点で行い、短期的な評価はすべきでない」と主張しているが、そもそも年金積立金は、私たちが支払った年金保険料から拠出した“貯金”を積み立てたもの。無謀なギャンブルに使われてはたまらない。

「今の年金は賦課方式といって、現役世代が払った年金保険料を年寄りで山分けするという仕組み。GPIFが5兆円の赤字を出したからといって、年金保険料や給付額への影響は今のところほとんどありません。むしろ政府が本当にやりたいのは、支給開始年齢を引き上げることのほう」(森永さん)

 いまや65歳定年の企業はそう珍しくない。雇用延長をできる機会が増えたとはいえ、60歳で定年を迎えたあと、再就職できない人は大勢いる。

 森永さんが続ける。

「もし年金が67歳や68歳の支給開始になれば、完全に無収入になる期間が数年間はできてしまうことになる。年金制度そのものが壊れることはないにせよ、今後、減ることはあっても増える可能性はない。GPIFの赤字どころではなく、これらの問題は国民生活に決定的な影響を与えます」