20年間に渡り、『週刊文春』の記者として活躍。ASKAの覚醒剤使用をはじめ、世を震撼させる数々のスクープを放ってきた、フリージャーナリスト・中村竜太郎氏。この秋刊行され、自身初の単行本となる『スクープ! 週刊文春エース記者の取材メモ』(文藝春秋)は、ひとつのスクープをとるに至るまでの記者たちの奮闘ぶりを鮮やかに伝えるだけでなく、取材をするなかで中村氏が見た宇多田ヒカルや北島康介といった著名人たちの素顔をも知ることのできる一冊となっている。ここでは、週刊誌の舞台裏ではいったい何が起こっているのか、そして中村氏が“因縁”があると語るジャニーズとの関わりについてお話を伺った。

——ゲスの極み乙女。・川谷&ベッキーの不倫騒動にはじまり、2016年も『週刊文春』によるスクープが炸裂していますね。元文春記者の目にはどのように映っているのでしょうか?

「いまでこそ、週刊文春すごいですね、という評価がついてきました。でもね、20年前はそうじゃなかった。週刊誌自体が嫌われる存在でした。ろくに取材もしていないのに書き飛ばしやがって、と。

 でも、僕ら週刊誌の記者というのは、一生懸命汗をかいて、裏を取った仕事をしているんです。たとえそれがどのような取材対象であっても、与えられた仕事に対しては全力でやるし、結果を出そうと、それこそ地を這いつくばってやっているんですよ。日々のそうした努力があるからこそスクープもとれるわけです」

——たとえ世間からはゲスだと思われる記事でも、その裏には記者たちの絶え間ない努力があると。

「ええ、こんなゲスみたいな話をよくもまあ…といった言い方をされることも多々あります。だけど、僕は実際に取材をした記者たちの気持ちがわかるから、世間からそういう言い方をされる記事でもリスペクトしていますよ。同じ週刊誌の記者たちには、常にエールを送っています」