「政府が出したプランで給与は少し上がると言っていますが、目先の対応だけでは意味がありません。5年先、10年先の保育士の待遇がどう改善されているのかを示さないと保育士は増えません」

 さらに具体的な待遇の悪さも指摘する。

「給与は他業種の平均給与よりも約11万円低いですし、週休2日制の時代なのに保育士は土曜日出勤がある。さらに労働時間の8時間以外にも事務作業や保育の準備などで“サービス残業”も常態化しています。保育士になりたい若者がいても親が止めるケースもあるんですよ」

 ろくに夏休みも取れない保育士の労働状況は変わっていない。資格を持っていても保育士として働きたくないと思うのは当然だろう。

「夫だけではなく母親も働く家庭は年々増えていて、今では全体の50%を超えています。人口減と言われて子どもが減っているとはいえ、その減少率よりも働くママの数が増えている。だからこそ保育園の数を増やすことが大事であり、保育士を増やすために待遇を改善してほしいのです」(前出・村山さん)

 匿名ブログを最初に国会で取り上げた民進党の山尾志桜里衆院議員は、

「私たちは保育士の給与水準を5万円引き上げる法案を提案し続けていますが、審議に応じていただけていません。政府は各自治体に対して、既存の施設に1人でも多くの児童を引き受けてもらうように要請していますが、“それは違うよね”と2万7000人以上のお母さんが署名してくれました。今後は保育士さんの数を増やし、今の質を保ったままで待機児童の数を減らしたいと考えています」

 政府は将来を見据え、根本的に保育問題を解決する施策を考えてほしい。