エクササイズをする瀧島未香さん 撮影/山田智絵

 開脚前屈で胸が床にピタリとつき、筋トレのキツい動きもラクラクとこなしてしまうリーダー・瀧島未香(たきしま・みか)さんは日本最高齢のフィットネスインストラクター御年なんと、89歳!

「子育てを終えると、時間ができますでしょ? 好きな時間におやつを食べたりテレビを見てゴロゴロと過ごすうちに、体重がいつに間にか15キロも増えてしまいました(笑)」(瀧島さん)

「年齢はただの数字です」

 そこで、65歳でジムに入会し、約1年で15キロのダイエットに成功。

「それまで運動経験がなかったのですが、エアロビクスなどのクラスに参加して、できないながらも身体を動かしていたんです。動くようになるにつれて運動が楽しくなり、週に1日の休館日以外は、朝から夜までジムに通うようになりました。お昼にバナナ1本とヤクルト1本をとって、あとはずっと身体を動かしていましたね

 ジムのインストラクターにすすめられ、まったくのカナヅチ状態から水泳を始めてクロール、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライを泳げるようになり、70歳を過ぎてから参加したマスターズの水泳大会ではクロールと平泳ぎで大会新記録をだしたことも。また、フルマラソンにも挑戦したそうです。87歳のときにはフィットネスインストラクターとしての活動も始めました。

「私はいま現在、入院歴も通院歴もなく、薬も飲んでいませんし、目と歯もとても元気なんです。来年の1月15日で90歳になるのが自分でも信じられません(笑)」

 2年前からiPadを、1年前からスマートフォンを使い始め、現在は英語の勉強にも励んでいるといいます。

「まずはフィットネスインストラクターとして47都道府県を回り、その後は海外に出て世界中の人たちを元気にしたいという夢があるんです。私は自分自身の経験から、やってできないことはないと思っていますし、年齢はただの数字です。夢の実現のためにも、これからもパワーエイジングで突き進んでいきます!

■タキミカさんの若さの秘訣をさぐるQ&A

Q1.食生活で心がけていることは?

 食生活の基本は旬の食材を食べること。

「例えば、夏ならトマトやきゅうり、なすなどの夏野菜中心の食事です。この夏は家庭菜園でとれたトマトや大葉を毎日のように食べていました」

 また、発酵食品も欠かさずとっている。

「納豆は毎日、食べていますね。あとはキムチとぬか漬け。キムチは韓国人の方が作った本場の味のものを取り寄せていて、毎食、食べています。ぬか漬けは季節の野菜を自分で漬けたものです。間食はほとんどしませんね、する暇があまりありませんから(笑)」

ながらトレーニングを習慣化

Q2.エクササイズ以外で取り組んでいることは?

 ジムをきっかけにフラダンスを始めたという瀧島さん。

「フラダンス教室に入会し、10数年ほど習っています。大きな舞台で踊ったこともありますよ」

 また、朝4時から2時間ほどのジョギングが日課。

「毎日、23時ごろにはバタンキューで眠るのですが、午前3時になると自然と目が覚めるんです。4時に自宅を出発して走り、最後の1キロは後ろ歩きをしながら帰宅します」

Q3.毎日欠かさない身体のケアは?

 現在の体力と筋力を維持するために、生活のちょっとした場面でながらトレーニングを習慣にしている。

「インナーマッスルを締めるために、家の中はつま先立ちで移動したり、座るときにはイスに浅く腰かけて、背筋を伸ばして座ります。人けのない電車の中では、座った状態から両足を腰の高さまで上げて筋トレをすることも(笑)。毎日、4~5回は歯磨きをして歯の健康も維持しています」

Q4.身体だけでなく、内面から元気でいる秘訣は?

 ストレスフリーの生活を送っているという瀧島さん。

「イヤなことがあったとしても、ジムに行って運動をして汗をかいているうちに気持ちがスッキリするんです。ストレスをジムに置いてくるから、毎日が楽しいんです」

 また、苦手なことを避けずにチャレンジする精神を大切にしているそう。

「ジムではヒップホップやクラシックバレエを踊ったりもしました。いくつになっても、いろんなことに挑戦してみたいと思っているんです」

 では、ここからは、今すぐ始められるタキミカ流・ながら体操を3つ続けてご紹介します!

◎テレビを見ながらお手軽ツイスト体操
 ひざの間に雑誌などを挟むことで太ももの内側を、身体をひねることでウエストまわりを絞ります。背筋を伸ばしてお腹に力を入れることで、背中やインナーマッスルのトレーニング効果も。10回以上繰り返してみましょう。

お手軽ツイスト体操・図解 撮影/山田智絵

【1】イスやソファに座って雑誌などをひざの間に挟む。心地よい刺激が継続する程度にできるだけ長く挟み続けること

【2】1の姿勢のまま胸の前で手のひらを合わせ、両手で押し合うような感覚で力を入れる。腰が反らないようにお腹に力を入れる

【3】2の姿勢のまま身体を右側にひねり、心地よい刺激が継続する程度にキープ。左側にも同様にひねる

洗濯中と歯磨き中も楽しく体操!

◎洗濯をしながらバランスコアトレーニング体操
 スクワットの体勢で股関節の可動域を広げた後は、片足立ちをしてバランスをとりインナーマッスルを鍛えます。背筋を伸ばすことで背中の筋肉が鍛えられ、両腕を上げることで肩まわりの筋肉のトレーニングにも。片足5回程度を行ってみましょう。

バランスコアトレーニング体操・図解 撮影/山田智絵

【1】両足を横に大きく開き、お尻を後ろに下げながら洗濯物を両手でつかみスクワットの姿勢に。このとき、背中が曲がったり腰が反りすぎないようにお腹に力を入れる

【2】背筋を伸ばしたまま両腕は肩、太ももは腰の高さまで上げて右ひざを90度に曲げる。身体がグラつくときは床に右足のつま先をつけてもOK

【3】2の姿勢を保ったまま両腕を上げて洗濯物を干す。バランスがとりにくいときは、床に右足のつま先をつけてもOK。左側も同様に行う

◎歯を磨きながら背骨ツイスト体操
 片方の腕を腰に、反対側の腕を肩の高さに上げて身体をひねることで背骨(胸椎)の可動域を広げます。利き手と反対側の手で歯磨きをすると脳神経を刺激し、認知症予防にも効果的。歯を磨く間、繰り返し行ってみましょう。

背骨ツイスト体操・図解 撮影/山田智絵

【1】足を腰幅に開いてつま先で立つ。右手で歯ブラシを持ち、左手は腰にあてる。このとき、歯ブラシを持った右腕のひじを上げできるだけ肩に近い高さまで上げる

【2】1の姿勢から身体を右側にひねる。右の肩甲骨を広げるようなイメージで、腰から上だけをひねる

【3】歯ブラシを左手に持ち替えて2と同様に左側にひねる。ひねりにくい側がある場合は、その方向に多めにひねること

(取材・文/熊谷あづさ)


【PROFILE】
瀧島未香さん ◎昭和6年生まれの89歳。身長147センチ。65歳から毎日、ジム通いをして15キロのダイエットに成功。87歳でフィットネスインストラクターとしてデビューし、さまざまな団体などに向けてオリジナルの「タキミカ体操」を教えている