日本人成人の5人に1人が慢性腎臓病と言われており、いま腎臓に注目が集まっている。
「腎臓は加齢や生活習慣病で機能が低下します。高血圧や糖尿病、塩分のとりすぎや脱水も負担になります。日々の食生活を整えることが腎臓を守る一番のポイントです」
と話すのは東北大学名誉教授で腎臓専門医の上月正博先生だ。
厳選食材で腎臓の機能を改善
「塩分控えめで栄養豊富なスープが特に効果的です。もし味付けが薄いと感じたら、一気に減らさず少しずつ減らして味覚を慣らしていくのもいいでしょう。野菜やきのこ、海藻を使ったスープは、体内の老廃物を排出しやすくし、腎臓への負担を軽減します。
さらに、トマトやブロッコリースプラウトなど、抗酸化作用のある食材を加えると腎細胞を守る効果も期待できます。従来、“腎臓は一度機能が落ちたら元には戻らない”と言われてきましたが、生活習慣を見直すことで機能を改善できることもわかってきました」
今回はレンジとお湯を注ぐだけで作れる簡単スープをご紹介。毎日飲んで、腎臓を守る第一歩をぜひ初めてほしい。
※電子レンジは600Wを使用
※レシピは書籍『腎臓を若返らせる名医のスープ』(上月正博著)より
まいたけとごぼうの豆乳ごまスープ
ごまの香りに癒される、濃厚クリーミーな一杯
材料(1人分)
・まいたけ……20g
・ごぼう……3~5cm(20g)
・みそ(だし入り)……小さじ1
A[豆乳(無調整)……100ml、白すりごま……小さじ1/2]
【作り方】
(1)まいたけはひと口大に裂く。ごぼうはささがきにする。
(2)耐熱の器に(1)、みそ、水50mlを入れ、ふんわりとラップをかけ、電子レンジで2分加熱して混ぜる。
(3)Aを加えてラップをかけ、電子レンジで1分加熱する。
column:ごぼうときのこで高血糖対策
「高血糖を放置すると腎機能が低下し、人工透析を避けられなくなります。そこで大事なのが食後血糖値の急上昇を防ぐこと。ごぼうやきのこに多い食物繊維が糖の吸収を遅らせて急上昇を防ぎます」(上月先生、以下同)
トマト系スープ
トマトの抗酸化作用で腎臓の細胞の損傷を防ぐ!
温玉トマトスープ
とろ〜り卵がからむ、すぐに完成のごちそうスープ
材料(1人分)
・ブロッコリースプラウト……10g
A[トマトジュース(食塩不使用)・水……各80ml、にんにく(すりおろし)……3g、めんつゆ(2倍濃縮)……大さじ1/2]
・温泉卵…1個
【作り方】
(1)耐熱の器にスプラウト、Aを入れ、ふんわりとラップをかけ、電子レンジで1分30秒加熱して混ぜる。
(2)温泉卵を割り入れる。
ミルクトマトスープ
トマトとアーモンドミルク、ふたつの甘みを味わって
材料(1人分)
・玉ねぎ……1/8個(25g)
・豆苗……10g
A[トマトジュース(食塩不使用)……100ml、アーモンドミルク(砂糖不使用)……50ml、めんつゆ(2倍濃縮)……小さじ1と1/2]
【作り方】
(1)玉ねぎはみじん切りにする。豆苗はざく切りにする。
(2)耐熱の器に(1)、A を入れてふんわりとラップをかけ、電子レンジで2分加熱して混ぜる。
column:血管老化を予防するトマト&抗酸化作用のある玉ねぎ
「トマトに含まれるリコピンには善玉コレステロールを活性化させる効果が。善玉コレステロールは硬くなった血管をしなやかにするので、血管が多く集まっている腎臓の健康に役立ちます。また、玉ねぎに含まれるケルセチンという成分は、活性酸素による腎臓の細胞の損傷を防ぐ抗酸化作用があります。ぜひ意識して食べたい野菜です」
スプラウトとトマトのスパイシースープ
カレーのスパイスがきいて朝の目覚めの一杯にもおすすめ
材料(1人分)
・ブロッコリースプラウト……5g
・ミニトマト……3個(30g)
・カレー粉……小さじ1/3
・めんつゆ(2倍濃縮)……小さじ2
【作り方】
(1)ミニトマトは半分に切る。
(2)器にすべての材料を入れ、熱湯150mlを注ぎ、よく混ぜる。
サルサスープ
油揚げのコクが決め手!メキシカンな刺激が新鮮
材料(1人分)
・玉ねぎ……1/8個(25g)
・ピーマン……1/4個(6g)
・刻み揚げ(市販/味のついていないもの)……10g
・にんにく(すりおろし)……3g
・トマトケチャップ……大さじ1
・めんつゆ(2倍濃縮)……小さじ1/2
・タバスコ……少々
【作り方】
(1)玉ねぎ、ピーマン、刻み揚げは粗みじん切りにする。
(2)器にすべての材料を入れ、熱湯150mlを注ぎ、よく混ぜる。
にんにく香るトマトスープ
にんにくガツン!疲れた日の元気チャージにぴったり
材料(1人分)
・トマト……1/4個(50g)
・にんにく(すりおろし)……3g
・万能ねぎ(小口切り)……5g
・顆粒鶏ガラスープの素……小さじ1/2
・しょうゆ、ごま油……各少々
【作り方】
(1)トマトは1cm角に切る。
(2)器にすべての材料を入れ、熱湯150mlを注ぎ、よく混ぜる。
海藻たっぷりスープ
海藻の食物繊維で腸内環境を改善して腎機能改善
わかめとキムチのチゲ風スープ
ピリ辛キムチで身体ぽかぽか、夜食にも罪悪感ゼロ
材料(1人分)
・わかめ(乾燥)……0.5g
・白菜キムチ……15g
・にんにく、しょうが(共にすりおろし)……各5g
・顆粒鶏ガラスープの素……小さじ1/3
・白いりごま……適量
【作り方】器にすべての材料を入れ、熱湯150mlを注ぎ、よく混ぜる。
とろろ昆布のサンラースープ
酸っぱ辛くてクセになる!お店の味を家で再現
材料(1人分)
・とろろ昆布……5g
・しょうが(すりおろし)……3g
・ポン酢……小さじ2/3
・ラー油……少々
【作り方】器にすべての材料を入れ、熱湯150mlを注ぎ、よく混ぜる。
昆布と納豆の塩麹スープ
発酵パワーで腸も喜ぶ塩麹のやさしいうまみ
材料(1人分)
・切り昆布……1g
・納豆……1/2パック(20g)
・塩麹……小さじ1
・しょうが(すりおろし)……3g
・ごま油……少々
【作り方】
(1)耐熱の器に納豆以外の材料、水150mlを入れてふんわりとラップをかけ、電子レンジで1分30秒加熱して混ぜる。
(2)納豆を加える。
とろろ昆布のみそ汁
お湯を注ぐだけなのに削り節で本格派の味
材料(1人分)
・とろろ昆布……5g
・万能ねぎ(小口切り)……10g
・かつお削り節……1g
・みそ(だし入り)……小さじ1
【作り方】器にすべての材料を入れ、熱湯150mlを注ぎ、よく混ぜる。
めかぶとねぎのしょうがスープ
とろ〜りめかぶが喉に優しい、じんわり温まるしょうがスープ
材料(1人分)
・めかぶ(味のついていないもの)……40g
・しょうが(すりおろし)……6g
・万能ねぎ(斜め切り)……15g
・顆粒鶏ガラスープの素……小さじ1/2
【作り方】器にすべての材料を入れ、熱湯150mlを注ぎ、よく混ぜる。
column:海藻で腸内環境改善
「腸内環境が乱れると腎機能が低下するなど、腸と腎臓には深い関係があります。海藻には腸の善玉菌のエサになる成分が豊富で腸内環境を改善させることができ、腎機能を高めるのに有効なのです。なお海藻をエサにできる善玉菌は日本人に多いといわれています。また、海藻に含まれるフコイダンという成分には血圧やコレステロールを下げる効果が。生活習慣病は腎機能を悪化させるので、その点でも海藻はおすすめです」
お話を伺ったのは……上月正博先生●東北大学名誉教授。山形県立保健医療大学理事長・学長、医学博士、日本腎臓学会功労会員、総合内科専門医、腎臓専門医、高血圧専門医、リハビリテーション科専門医。心臓や腎臓などの内部障害のリハビリテーションを専門とする。
【上月先生の書籍が好評発売中】
腎機能を高める食材を使った65レシピを掲載!
『腎臓を若返らせる名医のスープ』
上月正博先生著 主婦と生活社 定価:1650円(税込)
レシピ考案・料理・スタイリング/寺島モエカ 撮影/廣瀬靖士

