「大きな声を出すのは気持ちがいい。それに気づいたのはコロナ禍でした」
そう話すのは、ローズの愛称で親しまれている、笠間節子さん。
人に会えない、声も出せない……、日本中が縮こまっていたコロナ禍に、大きな声を出すトレーニングとして「ハッキッキ体操」を考案。「Zoomで朝活」をスタートさせた。その教材として使っているのが、北原白秋の『あめんぼの歌』だ。
大きな声を出すことで嚥下機能も鍛えられる
「この詩を大きな声で音読すると、“滑舌”“発声”“呼吸”が整います。詩の中にある五十音を唱えるときに、“口輪筋”をしっかりと動かすと、顔の表情も若返ります。何といっても、美しい詩ですから、何度読んでも読み飽きることがありません」(笠間さん、以下同)
高齢者の中には一人暮らしも少なくなく、誰とも話さない一日もある。そうすると、声がかすれて、だんだん声が出なくなる。
さらに進むと、ものを飲みこむ「嚥下(えんげ)」ができなくなる。しかし、音読を習慣にすることで、嚥下機能の向上が期待できるという。
「食べることと声を出すことは同じ“のどの筋肉”を使いますから、声を出すことで嚥下機能も高まるのです。誤嚥(ごえん)で苦しんでいた人が、音読を始めて、わずか1か月で改善されたと聞いて、私も驚きました」
音読は「生きるエネルギー」と言い切る笠間さん。
「コロナ禍で、みんながどんどん元気がなくなっていく中で、声を出したらなんて気持ちいいんだろうと思ったのが私の原点です。声を出すことは、生きるエネルギーのもと。シンプル、簡単、費用ゼロですから、毎日の習慣にしてほしいですね」
一日を元気にスタートするためにも、毎朝大きな声で音読を始めてみよう!
「口輪筋」をしっかり動かし、腹式呼吸で声を出す!
深い呼吸をしながら、口のまわりの表情筋・口輪筋をしっかり動かし、リズムを刻んで、大きな声で『あめんぼの歌』を読み上げましょう。
北原白秋の五十音『あめんぼの歌』とは
明治から昭和にかけての日本を代表する詩人、童謡作家である北原白秋の詩。
文中に五十音が織り込まれていて、音読することで日本語の正しい発音や滑舌を鍛えることができ、アナウンサーや声優などの基礎トレーニングとして使われている。日本語の美しい響きやリズム、情景が浮かぶフレーズは、何度読んでも新しい発見がある。
音読するときのポイント
(1)手拍子をしながら、4拍子のリズムにのって、大きな声で読むように。詩中の五十音の終わりで、1拍ついて、後半の詩に入るとリズムがよくなる。慣れてきたら、一気に読み上げるなど変化をつけても楽しい。
(2)「あめんぼ赤いな」は大きな声で、続いての「あいうえお」は小さな声で、というように音の大小をつけたり、「ワ行」から読み始めたり、読み方を変えると脳トレにもなる。いろいろと試してみて!
(3)「カ行」「タ行」「ラ行」は舌の力が必要な行。舌の力が弱くなると滑舌が悪くなったり、咀嚼に支障をきたす。舌をしっかり動かして、しっかり発声を。この3行だけ繰り返し読むのも○。
一日を幸せに過ごす3つのハーモニー
音読をするときは、「声」「表情」「姿勢」にも注意して。この3つを意識すれば、一日が爽快に、ハッピー度がアップしますよ!
「声」
大きな声でポジティブな気持ちで音読すると、身体の内側から元気が湧き出てくる。大きな声で「ハッピー」(拍手)、「ラッキー」(拍手)、「大好きー」と両手をまっすぐ上にあげてから音読に入ると、リズムよく始められる。
「表情」
音読中は顔の表情を意識して。笑顔でいると、自然と気持ちも明るくなって、音読も楽しくできるはず。どんなときも笑顔がいちばん。普段から笑顔の練習をして、悩み事があったとしても、空を見上げて「ニコッ」。
「姿勢」
しっかりと背筋を伸ばして、よい姿勢を心がけて音読スタート。姿勢が悪いと気分も下向きになって、声も大きく出ない。「大好き!」と言いながら、両手を思いっきり上げると、背筋もピンと伸びるのでやってみて。
音読にハッキッキ体操(R)をプラス!
音読の前後にプラスで取り入れると効果的なトレーニング。
音読と同様に、3つの機能が鍛えられる。「ハッハッハッ」と吐く息に大きな声をのせ、おなかの筋肉で勢いよく吐き切る。息を吐き切ったら自然と息を大きく吸い込むはず。そうしたら、また「ハッハッハッ」と吐く、を繰り返す。1分間を目安に行う。
一日一音読『あめんぼの歌』(五十音)北原白秋
1分を目安に、早口にならず1つずつの単語をはっきり発音しましょう。最初はゆっくりでもいいので、最後まで読むことが大切。
あめんぼ赤いな あいうえお
浮き藻(も)に小エビも泳いでる
柿の木 栗(くり)の木 かきくけこ
キツツキコツコツ枯(か)れけやき
大角豆(ささげ)に酢をかけ さしすせそ
その魚 浅瀬(あさせ)で刺しました
立ちましょラッパで たちつてと
トテトテタッタと飛び立った
ナメクジのろのろ なにぬねの
納戸(なんど)にぬめってなにねばる
鳩ポッポほろほろ はひふへほ
日向(ひなた)のお部屋にゃ笛を吹く
まいまいネジ巻き まみむめも
梅の実落ちても見もしまい
焼き栗ゆで栗 やいゆえよ
山田に灯(ひ)のつく宵(よい)の家
雷鳥は寒かろ らりるれろ
蓮華(れんげ)が咲いたら瑠璃(るり)の鳥
わいわいわっしょい わゐ(い)うゑ(え)を
植木屋 井戸換(が)えお祭りだ
教えてくれたのは……笠間節子(ローズ)さん●瞬笑コミュニケーション協会代表。生命保険会社に約25年在職し、営業管理職、営業教育部で職員育成に務める。退職後は、生保営業マンを対象とする研修会社・染宮教育総研株式会社の顧問に就任。2020年に一般社団法人瞬笑コミュニケーション協会を設立。オリジナル講座や、表情・声・姿勢などの非言語コミュニケーションに特化した活動を展開中。
取材・文/池田純子
