「リンちゃんは笑顔はもちろん、すねる顔もとっても可愛かった。事件のことは頭では理解していても、今もリンちゃんはどこかにいる、そんな気がするんです」

 リンちゃんの担任教師だった女性は、まぶたに浮かぶ教え子の姿を思い起こす。

 昨年3月、千葉県松戸市のベトナム国籍の小学3年生、レェ・ティ・ニャット・リンちゃん(享年10)が殺害・遺棄された事件の裁判で、千葉地裁は強制わいせつ致死、殺人などの罪に問われた渋谷恭正被告(47)に対し、7月6日に無期懲役の判決を言い渡した。

「私はずっとリンちゃんの担任です」

 元担任は連日、裁判を傍聴。判決後、これまで秘めてきた心の内を週刊女性だけに語った。

「リンちゃんは最初、決して日本語が上手ではありませんでした。でも放課後は毎日、日本語クラスに通い、漢字の書き取りを頑張っていました。苦手な鉄棒も毎日練習していました」

 リンちゃんは腕力がなく、鉄棒に乗ることもできなかった。それでも弱音を吐かず、黙々と挑戦する姿に同級生が自然と集まり、「がんばれ!」と応援していたという。

 ある日、リンちゃんの母親が学校に来た。

「お母さんは日本語ができないので学校にはほとんど来ませんでしたが、授業参観の発表を頑張る娘をひと目見ようと勇気を出して来たんです」

 授業後、そんな母親を気遣ってベトナム語で会話するリンちゃんの姿にクラスメートは驚いたという。

「リンちゃんは友達を悪く言うことはありません。シャイなところはありましたが、純粋で心がきれいな子でした。

 裁判を傍聴して、神様なんていないと思った。何の罪もないリンちゃんが殺され、家族も苦しめて……。加害者は拘束されているとはいえ生きています。神様はなぜこんなことをするのでしょう

 と心情を吐露する。